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アメリカを代表する災害対策の専門家 デヴィッド・ニール博士 緊急インタビュー 「未曽有の東日本大震災・原発事故に際して 日本が今できること、これからなすべきこと」|World Voiceプレミアム|ダイヤモンド・オンライン

 災害研究では15年ほど前から「natech災害」という概念が注目されている。「na(自然)」災害によって「tech(技術)」災害が引き起こされるという構図だ。

こうした事態にあっては、率直に言って、救済・復興の(精緻な)計画は立てにくいだろう。今はとにかく、変化が繰り返し生じても、その状況に対して、皆がフレキシブル(柔軟)に対応することが何より重要だ。

 住民の避難対象地域を、最初は半径10キロとしながら、その後同20キロに拡大し、さらにその後20〜30キロ圏内の住民に屋内退避の指示を段階的に出していったことには、正直なところ、驚いた。地震で道路など交通インフラが打撃を受け)住民をバスなどで安全に移動させるのはそう簡単ではないことを考えると、最初から余裕を持った想定をした方がよかったのではないか。


 また、原発施設の現状について情報が錯綜していることも、混乱を増幅させている。政府、電力会社、専門家などの意見がバラバラなのは、1979年のスリーマイル島原発事故のときも同じだった。その背後には原発の賛成派、反対派といった立場の違いがあり、そこに見えるのは「ポリティックス(政治)」だ。しかし、今は「科学」こそが語られる時期でなければならない。

 政府がなすべきことは、まず各時点で分かった事実を明らかにし、国民とのコミュニケーションをとにかく続けていくことだ。事態が悪化しそうならば、それを審査してまた伝えることの繰り返しだ。


 また、災害について間違った「神話」のひとつは、(政府の警告が)すぐさまパニックを引き起こすと考えることだ。避難というと、人々がすぐさま車に乗り込んで道路に殺到し、交通が麻痺する絵が思い浮かぶだろうが、実際にはそうではない。


 政府の警告に対する最初の人々の反応はたいてい「何もしないこと」である。ほとんどの人間は、さらにいくつかの情報が出てくるまで「待ち」の姿勢になる。そして、ある時点になって、パニックは起こる。

 今からできることは、政治家でもビジネスマンでもいい、国民が信頼をおける人間を前面に立たせ、その人物に国民とのコミュニケーションの役割を担ってもらうことだろう。

 繰り返すが、最善を尽くし、正直になり、フレキシブルに事態に対応する。それがキーとなる。