首相の大連立構想は今に始まった話ではない。
当初は「クリーンな政治」を実現させるというふれこみで、小沢一郎元民主党代表との関係を絶ち、自民党に対しては消費税問題を通じて協力関係を模索しようとした。
首相の後ろ盾ともいえる仙谷由人官房副長官も自民党の大島理森副総裁との接触をひそかに続けてきた。仙谷氏は大島氏を通じて自民党内の情勢を探りながら、大連立の可能性を探った。
しかし、自民党からは「統一地方選と菅政権が終わった後の話だ」という厳しい空気ばかりが伝わってきた。
幻となりかけた大連立構想。それが大震災をきっかけに、首相の脳裏に再び浮上した。「『震災対応への協力』という大義名分なら、自民党もむげに拒否できないだろう」。そんな計算が働いたことは想像に難くない。
首相が谷垣氏に対し、震災復興担当相での入閣を打診したことは、「国難」に対処する政府の責任を野党に転嫁しようとしていることも意味する。それどころか、震災前には退陣論もささやかれた首相が、逆に国難を利用して、政権維持を図る計算さえ垣間見える。
「お前の方が閣内から去れ! ダメだって、昨年から言っているじゃないか」