なぜ、先進国経済は軒並み長期低迷に陥ったのか。その理由は複雑だが、一言でいえば、産業革命以来、西洋資本主義が成長の源としてきた「世界のフロンティア」が消滅したからである。
領土的には、植民地主義が終わった第二次大戦終了時からフロンティアは消滅し、先進国の資源支配力は弱まったが、戦後の覇権国アメリカは、グローバル資本が自由に国境を越えて流通することが可能な「金融空間」(水野和夫『終わりなき危機−君はグローバリゼーションの真実を見たか』を参照)という新たなフロンティアを創り出すことに成功した。このような「金融空間」の創造によって、アメリカは世界の資本を呼び寄せ、成長経済を維持することに成功した。
しかし、アメリカに富をもたらした「金融空間」もリーマン・ショックで崩壊した。その結果、いまや、先進国にとっての「成長のためのフロンティア」は消滅したのである。それが、先進国経済低迷の根本的原因である。