胡錦濤政権、毛沢東の名前を“抹消” 保守派は反発強める 「思想」存続めぐり激しい攻防
中国共産党の規約の中に、党の指導理論・理念として、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、トウ小平理論などが羅列されているが、1978年以降、経済発展を重視するトウ小平理論が政策立案の基本指針となり、農民や労働者による革命を重視する毛沢東思想は実質否定された。
しかし、トウ氏が主導した改革開放によって貧富の差が広がり特権階級に対する民衆の不満が高まった。毛沢東の「弱者の味方」としての一面が再び強調されるようになり、低所得層の間で毛沢東人気が高まった。薄氏が重慶で「共同富裕」のスローガンを掲げ、格差是正を強調したのは、毛沢東の政治手法をまねして民衆の支持を得ようとしたからだといわれる。
日本政府による尖閣国有化をきっかけに全国に広がった反日デモでは、毛沢東の写真を掲げて「薄書記を人民に返せ」と叫ぶ人の姿もみられた。胡錦濤政権は、薄氏を失脚させた以上、民間の毛沢東崇拝を抑えなければならない。9月下旬以降、共産党指導者の発言や公式文書から毛沢東の名前が消えた。
共産党筋は「胡主席らは毛沢東思想を外したいと強く思っているが、党内保守派の抵抗も強い。習近平国家副主席はまだ態度を明らかにしていないため、(外すことが)できるかどうかはわからない」と話している。