顧問弁護士は国営テレビに自殺と語った。
ソ連崩壊後のロシアで自動車会社「ロゴバス」を基盤に台頭した新興財閥を率いた。
ベレゾフスキー氏は、ソビエト崩壊をきっかけに大手石油会社や金融機関などの株式を取得して富を成し、1996年には買収したメディアと豊富な資金を使って、当時のエリツィン大統領の再選に貢献して大きな影響力を持つようになり、「政界の黒幕」とも呼ばれました。
しかし、その後、新興財閥による政治への介入を嫌ったプーチン大統領と激しく対立し、横領などの疑いで訴追されたことからイギリスに亡命していました。
ベレゾフスキー氏は亡命後も政権の転覆を訴えるなど、プーチン政権に対する過激な批判を続け、身柄の引き渡しを求めるロシア政府とイギリスとの外交問題にも発展しました。
英国では昨年11月にも、露政権幹部らの大規模汚職疑惑を暴露した亡命ロシア人実業家が不審死を遂げた。
ベレゾフスキー氏は1990年代、ソ連崩壊後の大混乱期に自動車販売で財をなし、ロシア最大のテレビ局や航空最大手アエロフロートのほか、石油会社までも手中に収めるなど、「エリツィン大統領(故人)の金庫番」と呼ばれ、最も影響力のある政商だった。
しかし、エリツィン氏の後継者であるプーチン氏とは対立した。「命に危険がある」として、所有ロシア企業株を売却し、2000年に英国に亡命。06年に放射性物質ポロニウム210で毒殺された反プーチン派の元ソ連国家保安委員会(KGB)中佐、リトビネンコ氏とも緊密に連絡をとっていた。同氏も同じ英国亡命者で、露政権幹部の汚職の実態などを調査していた。
ベレゾフスキー氏は昨年夏、親プーチン派の大富豪で、英サッカー名門チェルシーのオーナーのアブラモビッチ氏を相手取り、ロンドンで30億ポンド(約4315億円)の巨額損害賠償請求訴訟を起こしていた。しかし判事がベレゾフスキー氏の証言が「まったく信頼できない」と言明するなどして敗訴が確定。借金がかさんでいたという。
また、ロシア大統領報道官は死亡の報を受け、ベレゾフスキー氏が数カ月前、プーチン氏に謝罪し、帰国許可を求めていたと語った。だが、確認はされていない。
英国では昨年11月、亡命ロシア人実業家ペレピリチヌイ氏が44歳の若さで突然死。死因は当初、「心臓まひ」とされた。しかしBBCによると、同氏は健康に問題はなかったが、プーチン政権幹部の汚職に関係する証拠書類を英国やスイスの捜査当局者に提供したことに加え、投資案件でロシア保安当局者に莫(ばく)大(だい)な損失を負わせて命を狙われていた。このため、捜査当局は、毒殺の疑いがあるとして再び調査を行っている。
また、リトビネンコ暗殺事件以降、プーチン政権を批判する在英亡命ロシア人が襲撃などを受けるケースが増えている。「襲撃の対象」をまとめた名簿も存在しているといい、亡命ロシア人は外界との接触を極力しないなど警戒を強めている。