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【ニッポンの分岐点】通貨戦争(1)ニクソン・ショック 「決断」を妨げた円高への恐れ

 第二次世界大戦後、世界経済における覇権は大量の金を保有し、金と交換可能な唯一の基軸通貨ドルの下、圧倒的な経済力を誇る米国が握っていた。


 だが1960年代に入ると、日本や西ドイツの目覚ましい経済成長により、米国の貿易黒字の減少傾向が顕著になっていた。一方でベトナム戦争の戦費が膨らみ、財政赤字も拡大した。


 ブレトンウッズ体制下では、ドルは理論上はいつでも金と交換できた。しかし、対米貿易を通じて日本や欧州各国でドル保有額が急増し、米国が保有する金の量を上回る状況になっていた。このため、米国はドル切り下げにつながる金ドル交換停止に追い込まれたのだった。


 元日銀職員の明治大学教授、黒田晁生(65)は「当時は欧州諸国が次々とドルを金に交換しており、金とドルが交換できなくなる事態が現実味を帯びていた」と指摘する。


 金ドル交換停止によって、ブレトンウッズ体制は崩壊。米国の覇権の下で続いていた固定為替相場制は終止符を打った。