市場が恐れる「ジブリの法則」 テレビ放映で為替や株式市場が大荒れに - MSN産経ニュース
日本アニメ界の巨匠、宮崎駿監督(72)の電撃引退が、投資家たちを動揺させている。重要な経済指標である米国の雇用統計が発表される毎月第1金曜日に、宮崎監督率いるスタジオジブリの作品が日本テレビ系列の「金曜ロードShow!」で放映されると、為替や株式市場が大荒れになるという「ジブリの法則」が原因だ。
引退発表を受けて急(きゅう)遽(きょ)、6日夜にジブリ映画「紅の豚」(1992年公開)が放映されることになった。8月2日に「天空の城ラピュタ」(86年公開)が放映されたときも、法則は見事的中しており、市場関係者は戦々恐々だ。
「ジブリの法則通りなら、円高ドル安になる。市場の大半は円安ドル高を予想して動いている。統計発表前に逆張りで円を買っておけば、大もうけできるんだけど…」
日テレは、独占的に放映権を持つジブリ作品を不定期だが頻繁に金曜日午後9時からの時間帯に放映しており、第1金曜日だと放映中に雇用統計が発表されることになる。
法則とは「統計と放映が重なると、統計の数字が事前の市場予想を下回り、その結果、ドルが売られて円高ドル安が進行し株価が乱高下しやすくなる」というものだ。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、2010年以降、統計と放映の重複は計10回あり、うち予想を下回ったのは9回で的中率は90%に達する。この間の統計発表は全部で44回あり、予想を下回ったのは約60%の26回にすぎず、重複日は予想を下回る確率が異常に高い。
雇用統計の数値が予想よりも悪いということは、米国の景気が悪いことを意味し、予想を裏切られた投資家は、大慌てで米国のドルを売りに出し、円高ドル安が進行。株式も売られやすくなるというわけだ。
紅の豚は過去2回、雇用統計の発表日に放映され、いずれも予想を下回っており、「験の悪い作品」なのだ。
先月2日に「天空の城ラピュタ」の放映中に発表された7月の雇用統計は、市場の予想を大きく下回り、パニック的なドル売りが発生。発表前に1ドル=100円目前で推移していたが、発表後に98円台後半まで1円以上もドルが急落した。
今週末の6日に発表される8月の雇用統計について、市場は「米国経済の回復と歩調を合わせた堅調な数字が出る」(大手証券アナリスト)とみている。予想通りなら、「ドルが買われ、現在の1ドル=99円台半ばから一気に100円台まで円安が進む」(大手銀ディーラー)というのが市場の見立てだ。