その中には実業家もあれば、教育家もあり、医者や、学者も、沢山に混つてをつた。
以上は、水獄の中にて第一番の処であつた。第二段、第三段となると、こんな軽々しき苦痛ではなかつたのである。自分は、今この時のことを思ひだすと、慄然として肌に粟を生ずる次第である。
再び上の方で、ギイーと音がした瞬間に、十二三人の男女が転落して自分の脚下に現はれ、「助けて助けて」としきりに合掌する。自分は比礼をその頭上目がけて振つてやると、たちまち起きあがり「三ツ葉様」と叫んで、一同声を合はして泣きたてる。一同の中には宗教家、教育家、思想家、新聞雑誌記者、薬種商、医業者も混つてゐた。
『惟神の道』
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霊界に行つて、現界に時めく政治家、知者、学者又は有力者といはるゝ者の精霊に出会し、その情況を見れば、何れも魯鈍痴呆の相を現はし、身体の動作全く不正にして四肢戦き慄ひ、少しの風にも吹き散りさうになつてゐる。これ凡てが理性的ならざるが故である。