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焦点:米ボルカー・ルール、次の壁は銀行界の訴訟か | Reuters

銀行の自己勘定取引を禁止する「ボルカー・ルール」について、5つの米金融規制当局が10日、一斉に採決を行う。成立すれば、米銀行界は訴訟で対抗しそうだ。

ボルカー元連邦準備理事会(FRB)議長が音頭を取り、米金融規制改革法(ドッド=フランク法)に土壇場で盛り込まれたこのルールは、金融危機前に銀行のドル箱だったビジネスに切り込む内容。政府による最終的な後ろ盾を享受する銀行が、自己資金で取引するのはリスクが高過ぎると当局は見なしている。


しかし銀行側は800ページにおよぶこのルールについて、利益追求の取引と、リスクヘッジおよび顧客の代わりに行う取引とを区別できていないと主張する。

銀行は2年前の当初提案を骨抜きにしたい意向だったが、JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)が2012年に起こした巨額損失事件「ロンドンの鯨」によってその夢もついえた。

最終的な規則では考え得る抜け穴がふさがれる見通しで、ゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)やモルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)、JPモルガンといった大手行の年間収入は数十億ドル規模で圧縮される可能性がある。

法律専門家によると、規則が成立すれば銀行側は(1)手続き面の不備(2)費用便益分析の不足(3)金融規制改革法との矛盾──の3点を突いて訴訟に持ち込む可能性がある。

10日に採決を予定しているのは連邦準備理事会(FRB)、連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)の5機関。

弁護士によると、訴訟当事者にとってのハードルは、当局側が訴訟に至る明白なルートのいくつかを既に塞いでおり、提訴がリスクもコストも高い賭けになってしまう可能性だ。

銀行は手続き面で当局を訴える可能性がある。規制当局が「裁量的かつ気まぐれな」規則を策定することを禁じる「行政手続法」に基づく形だ。


最終規則が従来案より厳しく、新たな要素を大量に盛り込んでいれば、銀行側はこれらの要素にコメントする機会を与えられなかったと主張するかもしれない。既にボルカー・ルール案について1万7000ものコメントを当局に送ってはいるのだが。

銀行業界はまた、一部の規制当局はルールによる経済への影響を測るための適切な費用便益分析を怠ったと主張する可能性がある。


業界団体は既にこの戦術を用いて金融規制改革法の他の規則について訴えを起こし、CFTCとSECに勝訴した実績がある。


OCCはこの戦術に対して弱い部分があるかもしれない。OCCは連邦法の下、規則が政府あるいは民間部門に1億ドル以上のコストをもたらす場合には予算説明書を準備する必要があるが、準備しないことを決めたからだ。

銀行側は金融規制改革法との矛盾点を突く可能性もある。例えば、議会が許容する意向を示したヘッジ取引やマーケットメーク(値付け)をボルカー・ルールが制限している場合などだ。


カートライト氏によると、判事はトレーディングの複雑な問題に踏み込むことに二の足を踏むかもしれない。「『裁量的かつ気まぐれ』な規制かどうかを判断できるほど自分たちがトレーディングの問題を十分理解していることを、自ら納得する必要がある」という。