日刊ゲンダイ|露骨な政治利用 森組織委会長と下村文科相が東京五輪のガン
「森会長も下村文科相もオリンピズムというのを理解していないようですね。森会長は都知事選に立候補予定の細川元首相が原発を争点にすると聞くと『原発を人質にしている。卑怯だ』と発言したそうです。しかし、原発問題は昨年9月のIOC(国際オリンピック委員会)総会で安倍首相は原発問題、被災地復興を東京五輪とともに解決する姿勢を示していました。昨年11月に来日したIOCバッハ会長も地震対策を進めて欲しいと要望し、暗に原発問題への対応をきちんとするように促しています。人質というのであれば、むしろ森会長が都知事選と原発問題をからめて、東京五輪を政治利用しているようにさえ思える」
「下村文科相も、東京五輪では過去最多のメダル獲得を目指したい、と言い出している。五輪憲章はメダルの国別ランキング表を作成することを禁じている。選手が自らの努力で得た栄誉は選手自身に帰するという根本的な思想からです。五輪精神は端的に言えばナショナリズム(国家主義)の否定なのです」
実際、五輪組織委会長が都知事候補に“ケンカ”を売るなんて前代未聞。そもそも五輪は都市とその国のオリンピック委員会が開催するもの。国が前面に出るものではないはずだ。森発言は組織委会長ではなく“政治家”としての発言以外の何ものでもあるまい。
年明けに下村文科相が打ち出した、パラリンピックを厚生労働省所管から、オリンピック同様に文科省所管に移す方針も、メダル獲得で選手の尻を叩くためだろう。
ところが、本来あるべき姿に軌道修正すべきJOCは、政治家ベッタリ。竹田会長も影が薄くなっている。
「まさに五輪哲学なき五輪開催が演じられようとしている。新都知事には五輪精神に基づいた開催、都政を進めて欲しい。今回の都知事選の争点はむしろオリンピズムにしたらどうでしょうか。五輪開催都市とは本来そういうものです」(春日氏)