https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

コラム:イエレンFRBが直面する「雇用爆発」リスク=鈴木敏之氏 | Reuters

起きる可能性は明瞭ではないが、この雇用爆発は非常に厄介だ。前述した通り、金融緩和によって質的な面も重視する次元の高い完全雇用を目指すというのがイエレン議長の立場だ。労働者数の急増は短期間ならば、歓迎されるが、それが続くと、賃金上昇、インフレ圧力となることを心配しなくてはならなくなる。そうした事態が早く到来すると、今の量的緩和を秋に終了し、時間をおいて利上げという悠長な正常化は言っていられなくなる。後手に回ったという「Behind the Curve」の批判が沸き起こる。


それに金融政策を動かすことで応じるにしても、FRB保有証券の償還分の再投資をとめ、過剰の準備を吸収してからでないと、金融政策はブレーキをかける方向に動けないという従来にはないハードルがある。


また、急がざるを得なくなって、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも開こうものならば、フォワドガイダンスの公約はどうなったのかという問題になり、その先の引き締めを見越して、リスク資産の値崩れが起きるかもしれない。それは、「持続可能な」雇用最大化の任務達成の可能性を大きく損なう。さらに厄介なことは、そうした事態が起きたときに有効な金融緩和の手段が見当たらないことである。


需要は強いが、労働生産性の伸び率も回復して、穏当だが着実な雇用拡大があり、インフレも眼前の脅威とはならない中で、株価が上昇し、家計は雇用拡大と資産価値の増加で成長の好循環が見えてくるのが、イエレン議長にとっての勝利である。雇用への需要拡大が爆発し、短期失業率が低下して賃金が上昇し、後手に回った(Behind the Curve)という批判が激昂する中で、悠長な正常化を撤回させられることは、イエレン議長にとっての敗北である。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140507#1399459481