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トランプ大統領 FRB議長にパウエル氏を指名 | NHKニュース

トランプ大統領は、来年2月で任期が切れるFRBの議長人事について、今の緩やかな利上げ路線を継承しつつ、オバマ前政権で就任したイエレン議長に代わる人物を念頭に人選を進めていました。


トランプ大統領は2日、ホワイトハウスで、今のFRB理事のパウエル氏を指名すると発表したうえで、「パウエル氏は、何がアメリカを成功に導くかを理解している。革新、勤勉、そして夢だ」と述べ、アメリカ経済を成長に導く手腕に期待感を示しました。


パウエル氏は、ブッシュ政権財務省の次官を務めた後、大手投資ファンドで民間での実務経験を積み、2012年からFRB理事に就いていました。FRBは、年内にあと1回、来年は3回、利上げを想定していると公表していますが、市場ではイエレン議長の考えに近いパウエル氏が次の議長であれば、今後の政策に大きな変更はないという見方が多くなっています。


パウエル氏は、このあと議会上院での公聴会や承認をへて来年2月に正式に議長に就任する見通しで、基軸通貨ドルの動向を左右するFRBの新しい議長として、パウエル氏の手腕に世界が注目することになります。

FRB議長に指名されたパウエル氏は、「物価の安定と雇用の最大化という目的を達成するため、全力をあげるつもりだ。金融危機以来、アメリカ経済は、回復にむかって進んでいて金融システムが、金融危機の前に比べてより強くなっていることは疑いない」と述べ、金融政策を通じて、アメリカ経済を成長させていく決意を述べました。

FRBの次期議長について、トランプ大統領は、ことし9月以降、複数の候補者とみずから面会し人選にあたっていて、この2週間ほどは、パウエル氏をはじめ、今のイエレン議長、スタンフォード大学教授のテイラー氏の3人を軸に検討していました。


人選のポイントは2つ、「低金利政策」と「オバマ前政権からの転換」でした。
このうちテイラー氏は、FRBや政府の裁量が入り込まないよう、金融政策をルールに基づいて行うべきだと主張していて、共和党内で支持を集めていました。ただ、そのルールに基づくと、今よりも利上げのペースが速くなる可能性がある、と見られていました。このため「低金利政策」が好ましいと公言しているトランプ大統領の意向には合いませんでした。一方、イエレン議長について、トランプ大統領は、低金利政策を行ってきたことを評価し、「彼女のことが好きだ」と繰り返し述べてきました。しかし、トランプ大統領は、イエレン議長がオバマ前大統領に選ばれた点を指摘し、今後の金融政策の成果を自身の実績とも主張できるよう、新たな人物を指名したいという意向を示していました。


現職のFRB理事であるパウエル氏は、イエレン議長とも考えが近く、景気の拡大に合わせて緩やかに利上げを進めるという今のFRBの路線を大きく変えることはないと市場では見られています。このように、3人の中ではパウエル氏だけが、「低金利政策」と「オバマ前政権からの転換」という2つのポイントを満たしています。さらにパウエル氏は、官民両方の経験が豊富なうえ、5年間、FRBの理事をつとめており、議長候補の中では、最もバランスがとれているとも評価されていました。

FRBの次の議長に指名されたパウエル氏は、低金利政策が好ましいと公言しているトランプ大統領のもとで、今後、アメリカの景気が過熱して腰折れしないよう、適切な金融政策を行えるかが課題です。


FRBは、雇用が伸びていることなどからアメリカ経済は、緩やかな拡大が続くとして、年内にあと1回、来年は3回、利上げを行うという想定を公表しています。先月からは、量的緩和で膨らんだFRBの資産規模の縮小も始めていて、金融危機後の異例の金融緩和策の正常化を目指しています。ただ、労働力不足が広がっているにもかかわらず賃金の上昇は限定的なことから、パウエル氏は、利上げの判断にあたって、賃金や物価の動向、景気への影響を見極めながら、慎重に進めていくことが求められます。


一方で、トランプ大統領は、低金利政策が好ましいと公言し、大幅な減税を盛り込んだ景気の刺激策を進めようとしています。パウエル氏としては、今後、アメリカの景気が過熱して腰折れしないよう、タイミングを逃さずに利上げを行うなど、適切な金融政策を行えるかが課題です。さらに、IMF国際通貨基金は、金融政策の見直しに伴って金利の高いドルに資金が集まり、新興国から資金が流出して金融市場が不安定になるリスクを指摘しており、FRBには世界経済への目配りも求められます。


パウエル氏は先月の講演で、「金融政策の正常化によって新興国に及ぶ課題は、対応できるだろう。しかし、大きなリスクも残っている。新興国、とりわけ中国の企業が抱える債務が拡大していることだ」と述べ、世界経済の動向を注視しながら金融政策を進める考えを示しています。トランプ大統領は、金融機関に対する規制の緩和にも意欲を示していますが、イエレン議長は慎重な姿勢だっただけに、市場ではパウエル氏がトランプ政権と協調し、規制緩和を進めるかどうかにも関心が集まっています。

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