焦点:中ロのガス契約、日本のエネルギー安保を支援する可能性 | Reuters
過去最大規模となる中ロの契約は、アジアのガス需給に大きな変化をもたらし、ガス価格を押し下げる可能性がある。価格が下落すれば、世界最大の液化天然ガス(LNG)輸入国である日本は最大の利益を得ることになるだろう。韓国や台湾などアジアの他の主要なガス輸入国も、恩恵を受ける可能性がある。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の木村眞澄氏は、中ロのガス契約がガス価格に下向き圧力を与えるのは確かだと指摘。世界の他の地域と比べてアジア向けのガス価格が高い状況を表す「アジアプレミアム」の終わりが始まったとの見方もあると語った。
石油鉱業連盟の早崎隆志氏は、中ロを結ぶパイプラインはシベリアのガス田のさらなる開発を促し、それが日本向けLNGの供給源となる可能性もあると指摘する。
一方、中ロのガス契約を受け、ロシアと日本を結ぶパイプライン建設を推進する動きは再び活発化している。与党議員33人で構成される日露天然ガスパイプライン推進議員連盟は、プーチン大統領との契約締結を安倍首相に働きかける計画だ。
しかし、JOGMECのエコノミスト、原田大輔氏によると、ロシア国営石油会社ロスネフチとガスプロムは、パイプライン建設ではなく、LNG輸出の促進により強い関心を示しているという。
ガスプロムは2018年までにウラジオストクで、年間1000万─1500万トンのLNG生産能力を持つ2つ目の工場を建設する計画。
ロスネフチと米石油大手エクソンモービルも、サハリンで2018年から年間500万トンのLNGを生産するため、工場建設を計画している。
日本は、ロシアからの供給に加え、早ければ2015年にも開始される米国産シェールガス輸出の恩恵を受ける可能性がある。このほか、西アフリカやカナダなども、供給源となり得る。