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日銀:出口後も大量の国債購入継続を検討、量的質的緩和−関係者- Bloomberg

日本銀行が現在行っている量的・質的金融緩和に関して、2%の物価目標が安定的に持続すると判断して出口政策を開始して以降も、長期金利の急騰を避けるため、引き続き大量の長期国債買い入れを続けることを検討していることが関係者への取材で明らかになった。


関係者によると、出口政策の選択肢の1つとして、長期国債の買い入れ額を一気に削減してバランスシートを縮小させるのではなく、米連邦準備制度理事会FRB)と同様、量的・質的緩和の出口以降も拡大したバランスシートを当分の間維持し、場合によっては、短期金利の引き上げを先行させることもあり得るという。


継続する買い入れ額の目安としては、日銀が保有する長期国債のうち、償還が到来した分の再投資を行いバランスシートを維持する案が有力となっているが、再投資分を上回る規模の買い入れを続ける可能性も排除していないという。


黒田東彦総裁は2%の物価目標の実現までなお道半ばにあり、出口政策を議論するのは時期尚早との立場を崩していない。しかし、物価が日銀の見通し通りに上昇していることもあり、このまま日銀の筋書き通りに経済、物価が推移すれば、遅かれ早かれ出口をめぐる思惑が高まる可能性がある。


関係者によると、日銀が具体的にどのようなやり方で出口政策を行うにしても、政府の財政規律に対する信認が失われれば長期金利を低位に抑えることは困難であり、大量の国債買い入れの継続が財政ファイナスと受け取られるのを避けるためにも、政府の財政再建が出口政策の鍵を握っているという。


FRBの出口政策が選択肢に


日銀は現在、量的・質的緩和の下で、長期国債保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行っており、月額では毎月6兆−8兆円の長期国債を買い入れている。日銀は2%の物価目標の実現を目指しており、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的緩和を継続すると約束している。


関係者によると、日銀の出口政策の1つの有力な選択肢になり得るのが、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が5月20日の講演で示唆した戦略だ。FRBは昨年末から資産買い入れを段階的に縮小しているが、同総裁は最初の利上げを行う前に償還到来債券の再投資を終了することは「最善策でない可能性がある」と述べた。


FRBは当初850億ドルだった資産買い入れとは別に相当額の償還到来債券の再投資を行っているが、日銀の6兆−8兆円の長期国債買い入れは償還到来国債の再投資を含んでいる。年間の長期国債の総買い入れ額は80兆円程度だが、そのうち約30兆円は再投資分に相当する。


関係者によると、日銀内では、出口に至っても大量の国債買い入れを続ければ、財政ファイナンスと受け止められる可能性が高いとして、出口後の大量の国債購入の継続に対して否定的な見方もある。


追加緩和なしとの見方が増加


ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト33人を対象に3日から6日にかけて行った調査では、日銀が7月に追加緩和を行うとの見方は3人(9%)と、1カ月前の前回調査(38%)から急減。代わりに10月緩和予想が14人(42%)と最多になるとともに、追加緩和なしとの予想も8人(24%)と前回の5人(16%)から増加した。


野村証券の松沢中チーフストラテジストは12日朝の顧客向けリポートで同調査について、現在42%の追加緩和なしとの回答が50%を超えてくると、市場は「追加緩和が当面なし、ないしは緩和は打ち止め」を前提に動き出すと見られるので、「今後追加緩和予想とともに注意しておきたい」と指摘した。


政府は近く成長戦略を改定する。安倍政権は今後10年で平均2%の実質成長を目指しているが、ブルームバーグ調査では実現不可能との回答が28人に達した。農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「この目標は潜在成長率を2%程度まで引き上げることに等しいが、相当な努力が必要であり、ほぼ不可能に近い」という。


バランスシート圧縮は困難


政府は2020年度のプライマリーバランス黒字化を目指しているが、政府試算では実質2%成長を前提としても10兆円の赤字が残る。大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストは「成長戦略は不振に終わるとみており、財政健全化の進ちょくを遅らせよう」と指摘。これが量的・質的緩和の出口で「市場の混乱を拡大させる恐れがありそうだ」という。


JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「大幅な財政赤字が放置されている場合、日銀の引き締めと同時に国債価格が急落するリスクが高まる」と指摘。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストも「出口では着実な財政再建の道筋が確保されていないと、日銀に代わる国債の買い手が確保できず、『悪い金利上昇』のリスクが台頭する」としている。


第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「成長戦略は予算編成に合せた年中行事に変わりつつある。潜在成長率を引き上げるような投資促進が不可欠だ」と指摘。「日銀の出口は成長戦略が中長期的に成功することが条件になる。日銀のバランスシートの圧縮は困難であり、出口は描きづらい」としている。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140611#1402482992