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民法 債権分野などの改正要綱案 NHKニュース

民法の債権や契約に関する分野は、明治29年の民法制定以来、大きな改正が行われておらず、現状に合わなくなっている部分もあるとして、法務大臣の諮問機関である法制審議会の民法部会が5年余りにわたって見直しを検討してきました。
そして10日の会合で、およそ200項目に及ぶ見直しを終え、民法改正の要綱案がまとまりました。
要綱案では、インターネットの通信販売など不特定多数が利用する取引で、企業が契約者に示す「約款」について、「商品などに欠陥があっても一切責任を負わない」など、契約者の利益を一方的に侵害する内容は無効にするとしているほか、企業があらかじめ示した「約款」が不当なものでなければ、契約者が内容を理解していなくても有効になるとしています。
また業種ごとに未払い金の時効が異なっているのは不公平だなどとして、5年に統一することや、債務の支払いが遅れた場合に上乗せされる法定利率を、市場金利との隔たりを小さくするため5%から3%に引き下げ、その後3年ごとに利率の見直しを検討することなども盛り込まれています。
法制審議会は今月中に上川法務大臣に要綱案を答申し、法務省は今の通常国会民法の改正案を提出する方針です。

民法が改正され、「法定利率」が引き下げられれば、交通事故で亡くなったり重い障害が残ったりした場合に受け取る自動車保険の保険金の額に影響が出ることになります。
死亡事故などが起きた際、損害保険会社は被害に遭った人の収入などを基に、事故に遭わなければ得られたであろう生涯収入を計算し、保険金を支払います。
この際、運用で得られると見込まれる利益はあらかじめ差し引いて保険金が支払われます。
運用による利益の計算に使われる「法定利率」が5%から3%へと引き下げられると、運用で見込まれる利益が減ることになり、生涯収入をカバーするためにその分だけ支払われる保険金が増えることになります。
日本損害保険協会によりますと、例えば生涯の平均月収が41万円余りで2人の扶養家族を持つ27歳の男性が交通事故で死亡した場合、法定利率が5%であれば、保険金はおよそ5560万円となります。
しかし法定利率が3%であれば保険金はおよそ7490万円と、1930万円増えるということです。
ただ保険金の増加は、契約者が支払う保険料の値上げにつながる可能性もあります。

民法改正の要綱案で、企業が契約者に示す「約款」に関する規定が新たに設けられることについて、経団連は「消費者を保護するためならば、その内容はすでに『消費者契約法』に盛り込まれており、新たに民法で規定する必要があるのか疑問が残る。また民法に約款の規定が盛り込まれると、多くの事業者で現在の約款が法律に適合しているのか確認する作業が必要となるなどさまざまな影響が予想されるので、民法が改正されれば、国は法律の内容を広く周知すべきだ」としています。