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法制審議会の民法部会は、おととし、家事や介護を担ってきた配偶者が遺産分割の際に優遇されるよう、法定相続の割合を引き上げるなどとした案をまとめましたが、一般から「配偶者を優遇しすぎではないか」といった反対意見が多く寄せられたため改めて検討を進め、16日の会合で民法改正の要綱案をまとめました。


それによりますと、遺産の対象となる住居について、これまでの「所有権」とは別に、配偶者が引き続き住むことができる「居住権」を新設し、退去を迫られることがないよう保護するとしています。


さらに、結婚して20年以上の配偶者に生前贈与や遺言で贈られた住居は、原則として遺産分割の計算の対象から除外し、住居を取得した配偶者にも、現金などの財産が子どもなどと同じように分割されることも盛り込まれています。


このほか、要綱案には、配偶者が生活費などを確保できるよう、遺産分割の前でも、預貯金などから一定の払い戻しを受けられるようにすることなども盛り込まれています。


法制審議会は、来月開かれる総会で、最終的に要綱を取りまとめ、法務大臣に答申することにしています。

昭和55年以来、およそ40年ぶりとなる今回の見直しの背景には、高齢化社会が急速に進展していることがあげられます。


高齢化社会の進展で、残された配偶者が長生きするケースも増え、生活資金も必要となることから、相続の際、配偶者により手厚く分割すべきだという指摘が出ていました。


また法務省は、核家族化が進み、子どもが親と同居せず独立して生活する状況が増えていることや、長年にわたって介護などを担ってきた配偶者が十分な遺産を受け取れず、不公平感を訴える声が上がっていたことなども、今回の見直しの要因になったとしています。

法務省が一例としてあげているのは、結婚して20年以上で、生前贈与や遺言で配偶者に住居が贈られた、夫婦と子ども1人の3人家族で、遺産の総額が8000万円、このうち住居の評価額が3000万円、現金などそのほかの財産が5000万円だった場合です。


基本的には、総額8000万円を、配偶者と子どもが4000万円ずつ分割することになります。


ただ、これまでは、配偶者が住居をそのまま相続する場合、評価額3000万円を遺産として得ることになるため、現金などの財産は1000万円のみの相続となります。


一方、子どもは、現金などの財産を4000万円相続することになり、住居を遺産として相続する配偶者への分割分は、必然的に子どもより少なくなっていました。


しかし、今回の見直しで、住居の評価額は「遺産分割の計算の対象から除外する」ことになるので、この例でみると、現金などの財産5000万円を、配偶者と子どもで2500万円ずつ分割することになります。


その結果、配偶者が得る現金などの財産は、これまでは1000万円だったのに対し、見直し後は2500万円に増えることになり、配偶者が優遇されることになります。