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アングル:世界の中銀、外貨準備のユーロ資産売却か | Reuters

ユーロ圏の国債利回りがマイナス圏に沈み、ユーロ相場も急落しているのを嫌い、世界の中央銀行は外貨準備として保有しているユーロ資産を数千億ドル単位で売却する可能性がある。


世界の中銀が保有する外貨準備は11兆6000億ドル。このうちユーロの比率は最新の統計で22.2%と2002年以来の最低水準にあるが、中銀の運用姿勢が変わるのに伴い、いずれ20%を割り込むと複数のアナリストは予想している。


比率の縮小はドルに対するユーロ相場の下落が最も大きく影響する見通しだが、中銀による売却額も数千億ドルに達し、さらなるユーロ安を招く大きな要因となりそうだ。ゴールドマン・サックスは売却額が年間で最大1040億ドルに上ると推計している。


国際通貨基金IMF)の最新の統計では、世界の外貨準備は昨年下期に3.1%、額にして3830億ドル減少して11兆6000億ドルとなった。JPモルガン・チェースによると、減少分の3分の2はこの間にユーロが11.7%下落したことによるものだ。


ロンドンのヘッジファンド、SLJマクロのマネジャー、スティーブン・ジェン氏は、外貨準備に占めるユーロの比率は最新の22.2%から、今後数四半期中にさらに2─4%ポイント低下し、金額では2400億─4800億ドル程度の減少になると予想している。


減少分の約半分はユーロ相場下落による目減り、残り半分は積極的な売却によるものとなりそうだ。つまり中銀は最大2400億ドル相当のユーロを市場に売却する可能性がある。


ジェン氏は「中銀の外貨準備管理者はマイナス金利を嫌う」とし、「外貨準備からユーロが放出されれば強大な影響をもたらすだろう」と予想した。

世界の外貨準備が減少するのは珍しい。


JPモルガンによると、昨年下半期の減少分は世界金融危機後で最大で、過去50年間ほどでは6番目の規模だった。


過去20年間は、大半の時期において新興国市場や産油国から先進国への輸出が急増し、巨額のドルがこれらの国々に流入して外貨準備に蓄積された。


ここ数年、この流れが転換している原因としては(1)石油価格の急落(2)ユーロ相場の急落(3)新興国の景気減速(4)ドル高が進む中、新興国による自国通貨下支えのための外貨準備取り崩し──などが挙げられる。


通常ならこれら諸国の中銀は、減価しつつあるユーロ資産の買い手を見つけるのに苦労するかもしれない。しかし現在は欧州中央銀行(ECB)が大規模な国債買い入れに着手して1カ月とあって、「通常」の時期とは異なる。


ECBはこれまでに617億ユーロの国債を購入した。中銀がこの間、ECBにユーロ圏国債を売却していたとしても、第3者を通じて売却するため、その額は定かでない。


中銀が保有するのは通常、期間が短く、かつトリプルA格など低リスクの国債だが、現在はそのうち約2兆ユーロ分で利回りがマイナスに陥っている。


これらの国債も名目の表面利率はなおプラスであるため、保有が必ずしも損失をもたらすとは限らない。しかし利息はスズメの涙ほどなので、中銀がしびれを切らしても不思議ではない。


トリニティー・カレッジ(ダブリン)の政治経済学教授、フィリップ・レーン氏は「こんな利回りの国債保有しているところに、民間以外の大きな買い手が現れたのなら売り時だ」とした上で「問題は売却で得た資金を何に再投資するかだ」と語った。