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焦点:債券の「スーパーサイクル」、新興国の外貨準備売却で終焉か | Reuters

中国を初めとする新興国がこれまでに溜め込んできた外貨準備の売却に動いたことで、債券の長年にわたる強気相場「スーパーサイクル」は終焉を迎えそうだ。中国が世界経済に組み込まれた2002年以降、金融と経済の様相は一変した。


中国による桁外れの原材料需要で力を蓄えた国々と、中国自体がその後12年間にわたり棚ぼた式に手にした外貨を積み上げたのが主因だ。


国際通貨基金IMF)によると、全新興国保有する外貨準備はわずか10年間で約7兆ドルも膨れ上がり、昨年半ばのピークには8兆0500億ドルほどに達した。


中国はこの増加分の約半分を占め、その景気拡大はコモディティの「スーパーサイクル」を生み出し、アジア諸国からロシア、ブラジル、中東湾岸諸国まで天然資源に恵まれた国の国庫は潤った。


溜め込まれた外貨の大半は米国債などリスクの低い先進国の国債に投資され、米国債や他のG7諸国の借り入れコストを半分程度の水準に低下させる決定的要因の一つになった。


中国の低い労働コストが西側への輸出品や賃金に対してディスインフレ的な効果を及ぼしたこともあり、新興国の外貨準備の積み上げは債券市場で20年もの間強気相場が持続するのに一役買った。


その上、債券利回りの低下は、株式と債券の相対リターンや企業の相対的資本コストを歪めることにより、金融危機後に株価が最高値更新を繰り返すのにも手を貸した。


こうした債券買いの流れが、たとえ限界的な規模であっても反転すれば、世界の資産市場は大きな問題を抱える可能性がある。


しかも現在、新興国と同様に債券を大量に買っていた米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和は終了し、西側諸国の景気回復でFRBその他の中央銀行は実質ゼロ金利政策の正常化を迫られている。


<頭打ちの外貨準備>


中国は今年の成長率が25年ぶりの水準に落ち込んで資本流出に見舞われる中、最近切り下げられた人民元は売り圧力にさらされ、人民銀行はこの夏、数千億ドル規模でドルを売却して人民元を支えたとみられる。


ラボバンクの推計によると、人民銀行は8月後半の数週間だけで外貨準備を2000億ドル取り崩したとされる。


差し迫るFRBの利上げとドル高という圧力、さらに中国のコモディティ需要落ち込みによるエネルギー・金属価格の急落で、新興国通貨は軒並み急落した。資本の流出をひたすら抑えようとすることで、国庫はひっ迫し始めている。


IMFのデータによると、新興国の外貨準備は2014年半ばから今年第1・四半期末までに5000億ドル近く減少した。この流れは長期化しそうだ。


ドイツ銀行は1日、約20年にわたる外貨準備の積み増しはピークをつけ、各国中銀は資本流出に対抗するため来年末までに1兆5000億ドルの外貨を売却すると予測した。


債券投資家は外貨準備の減少を危惧している。


アクサ・インベストメント・マネジャーズのフィクストインカム部門の最高投資責任者、クリス・イッゴ氏は「外貨準備圧縮の動きは始まったばかりだ」と指摘。「世界的な物価下落傾向の反転、米金融政策の一部反転、そして新興国の外貨準備積み増しを可能にしてきたバランスシート拡張の流れが反転するというシナリオが現実のものになりつつある。そうなれば米国債利回りは大幅上昇するだろう」と述べた。


<デフレか外貨準備取り崩しか>


中国の減速や金融市場の動揺で債券利回りが上昇するというのは一見するとつじつまが合わないかもしれない。


中国経済鈍化を背景にコモディティ価格が下落した。コモディティ価格の動向は、米英などの利上げ時期の後ずれにつながるはずだ。


しかし、10年にわたり外貨準備の取り崩しが続くとなれば、債券相場にとって、これらの要因をほぼ帳消しにしてしまうほどの力がある。


アクサ・インベストメントのイッゴ氏は、過去15年間に中国経済の台頭によってコモディティ価格が大幅上昇したのは確かだが、安い労働力と輸出品をはじめとする逆の要因と秤にかけてみれば、西側経済とってはディスインフレ圧力の方が強かったと指摘する。


裏返せば、最近のコモディティ価格の下落は、景気回復に向かう西側諸国で今後物価上昇圧力が高まるのを防ぐには不十分で、中銀が引き締めを思いとどまるのも一時的、と考えることができる。


ドイツ銀行のストラテジスト、ジョージ・サラベロス氏は「債券の需要はピークを過ぎたのではないか」と語った。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150903#1441276655
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150901#1441103954


#FRB #利上げ