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焦点:水面下で始まった金利目標の思考実験、誘導対象にレポも選択肢 | Reuters

日銀内で金融政策の目標を「量」から「金利」に戻した場合、何を誘導対象にするのかシミュレーションが始まっているもようだ。その中でかつての無担保コールレートよりも、レポ(現金担保付債券貸借取引)金利に着目すべきだとのアイデアが出ていることが明らかになった。ただ、日銀の公式見解は「出口の議論は時期尚早」で、当面は水面下での議論が進むとみられる。

日銀は黒田東彦総裁が就任直後に打ち出した「量的・質的緩和(QQE)」で、政策の目標を「無担保コールレート」から、国債などの資産買い入れを通じたマネタリーベース(資金供給量)に転換。現在は国債の全年間発行額に相当する年80兆円(日銀保有残高ベース)の巨額買い入れを通じ、2%の物価目標達成を目指している。


ただ、日銀はすでに230兆円(5月10日時点)の国債を購入し、その規模はすでに全国債発行額(3月末で879兆円)の4分の1に達している。一方、消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の前年比は、原油価格下落の影響を受け、前年比ゼロ%前半での「低空飛行」が続いている。


日銀内には、買い入れる国債が底をつく時が近づけば、政策の目標を量から金利に戻す選択肢もあるとの声が出ているようだ。その際に採用する誘導対象の1つにレポ金利が上がっているとの指摘が複数の関係者から出ている。


実際、日銀の金融市場局は3月18日に公表したリポートで、国債の決済期間を短縮するのに伴い、証券の銘柄を特定しないGCレポで、即日取引を実現すれば、市場規模が20─30兆円に達すると試算。「コール市場に代わる、最大の即日資金取引市場となる可能性が高い」と指摘している。

佐藤健裕審議委員も5月13日の講演で「即日決済のレポ市場が創設されることは、既存のコール市場における資金取引への影響のみならず、中央銀行が行う金融調節オペレーションにとって、重要な市場である短期金融市場全体に構造変化をもたらす可能性がある」と語った。


市場でも「レポ市場を制御すれば、無担保コール金利は落ち着くが、無担保コール金利でレポ金利を制御できるとは限らない。レポ金利を日銀の誘導対象とするというアイデアは、現実的なアプローチだ」(短期金融市場関係者)との声が聞かれる。


一方、日銀内では、レポ市場は取引残高が100兆円超と無担保コール市場に比べて大きく、大規模な金融調節が必要になる可能性や、債券需給によってもレートが変動するため、的確な誘導が難しくなるとの指摘がある。


また、レポ市場の参加者の多くは証券会社であり、金融システムの中核を担う銀行間の最終的な資金繰りを調節する手段である無担保コール市場を引き続き重視すべきとの考えも根強い。金融機関の間では、この問題における日銀の統一見解を早めに出してほしいとの声も上がっている。