三菱農機 トラクター販売世界最大手と資本提携 NHKニュース
資本提携で合意したのは、三菱重工のグループ会社で松江市に本社がある「三菱農機」と、インドの有力財閥「マヒンドラ」のグループ会社で、自動車やトラクターなどを手がけている「マヒンドラ&マヒンドラ」です。
発表によりますと、三菱農機がことし10月に第三者割当増資を行い、マヒンドラ側が33%の株式を取得する予定だということです。マヒンドラは、世界に販売網を持ち、トラクターの販売では世界最大手だということで、三菱農機は、資本提携をきっかけに海外市場への本格的な進出を目指す方針です。
記者会見した鳥取勝美社長は、「自分たちだけでは海外展開する力が弱く、マヒンドラの販売力を使って拡大させたい」と述べました。
一方、マヒンドラは、三菱農機が手がける田植え機なども商品群に加えることで、水田耕作で培った日本式農業の普及が期待されているアジア市場を中心に展開を加速するとしています。
農業機械を巡っては、農家の減少に伴って日本の国内市場が縮小する一方、世界的には今後も食料需要の拡大が見込まれており、三菱農機が外国企業との提携をいかしてもくろみどおり海外戦略を強化できるか注目されます。
日本の農業機械メーカーにとっては、世界的に食料需要が拡大するなか、海外戦略の強化が大きな課題となっています。
日本の農業機械を巡っては、農家の減少に伴って国内市場が縮小しており、業界団体によりますと、去年の国内向けの出荷額は5312億円と、20年前と比べて13%減少しました。
このため、メーカー各社は海外への輸出を強化していて、去年の輸出額は2407億円と、20年前から倍増しています。
その背景には、水田耕作で長年培ってきた精密に田植えや刈り取りを行う技術や、センサーなどを駆使して足場の悪い場所でも、農業機械のバランスを保つ技術などが評価されていることがあります。
海外では、経済成長が進むアジア・太平洋地域で、農業機械の市場が2023年には、その10年前の2倍に当たる1380億ドル、今の為替レートで計算すると16兆5600億円余りに拡大するという予測もあります。
このため、日本のメーカーにとっては、より安い農業機械を国内に出荷することなどとともに、さらなる拡大が見込まれる海外での農業機械の需要をいかに取り込むかが大きな課題となっています。
日本の稲作では、田植えや収穫だけでなく、除草やコメの乾燥などあらゆる過程を機械化しているのが特徴で、日本式農業と呼ばれています。
農林水産省によりますと、機械化によって、一定の面積当たりの農家の労働時間は、昭和40年代と比べるとおよそ5分の1にまで短縮されています。
この日本式農業は特に東南アジアでの普及が期待されています。
この地域には稲作を行う農家が多く、経済発展に伴って機械化が進んでいるためで、今後、高速の田植え機や、穂の部分だけを刈り取る収穫機など、日本独自の高性能な農業機械へのニーズが高まるのではないかと日本のメーカーなどの間で期待されているのです。
日本政府も、東南アジアの農業機械の市場は成長が見込めるとして、ODA=政府開発援助を活用し、農業機械を効率よく使うために必要な農道やかんがい施設の整備などを支援しています。