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FIFAブラッター会長が辞任表明 NHKニュース

FIFAを巡っては、アメリカの司法当局が、多額の賄賂の受け渡しなどがあったとして前副会長ら合わせて14人を組織的不正の罪で起訴し、FIFAに対する国際的な批判が高まっています。こうしたなか、先月29日に行われた会長選挙で再選されたばかりのブラッター会長が、スイスのチューリヒにあるFIFAの本部で2日緊急の記者会見を開きました。
この中でブラッター会長は「私の人生はこれまで、常にFIFAとサッカーとともにあり最善を尽くしてきた。だからこそ、今回の会長選挙にも立候補して再選されたが、これはサッカー界のすべての人に支持されているわけではない。FIFAには改革が必要だ」と述べ会長を辞任する考えを表明しました。
そのうえでブラッター会長は、次の会長を選ぶための臨時の総会をできるだけ早く開くようFIFAの理事会に要請したとし、選挙が行われるまでは会長を続けるとしています。FIFAによりますと臨時の総会は早ければことし12月にも行われるということです。

FIFA=国際サッカー連盟ジョセフ・ブラッター会長はスイス出身の79歳。1981年から17年間、FIFAの事務局長を務めたあと、1998年に8代目の会長に就任しました。
今回の一連の事件を巡ってはFIFAの人事を刷新すべきだという国際的な批判が高まるなか、先月29日、スイスのチューリヒで行われた会長選挙に立候補し5期目の当選を決めました。
ブラッター会長は翌日、現地で記者会見し、一連の事件に会長自身も関与していたのではないかという質問に対して「捜査されることに何ら懸念はない」と述べ、事件への関与を明確に否定しました。そのうえで、「この問題に取り組むべき人間が私だということは、選挙の結果を見ても明らかだ」と述べ、新たな任期で改革に取り組む考えを改めて強調していました。
一方で、アメリカのメディアは、捜査関係者の話として2010年の南アフリカワールドカップの開催地の選定を巡って、会長の側近とされるバルク事務局長が不正に関与していた疑いが明らかになり、捜査がブラッター会長の足元まで広がっていると伝えていました。
また、イギリスの新聞、サンデー・タイムズは、ワールドカップの2018年のロシア大会と2022年のカタール大会の開催地の選定を巡る捜査の一環として、スイスの検察当局がブラッター会長を聴取する方針だと報じていて今後の捜査の展開が注目されていました。

FIFA=国際サッカー連盟を巡る事件が発覚したのは、ほぼ1週間前の先月27日。スイスの司法当局が、会議のためにチューリヒに集まっていた当時の副会長2人を含むFIFAの関係者7人を逮捕したのです。
実は、逮捕を要請したのはアメリカ政府でした。同じ日、アメリカの司法当局は記者会見を開き、スイスで逮捕された7人を含むFIFAの関係者9人とアメリカとアルゼンチンのスポーツ関連企業の幹部ら5人の合わせて14人を起訴したことを発表しました。14人は、日本円にして185億円を超える賄賂の受け渡しなどに関わったとして、組織的不正の罪に問われています。
FIFAの関係者9人は1990年代はじめからこれまでの間にスポーツ関連の企業から賄賂を受け取り、その見返りに、中南米で開かれたサッカーの試合を放送する権利やスポンサーの権利などの取得にあたって便宜を図ったとされています。
このほか主なケースとしては、2010年のワールドカップの招致を目指していた南アフリカ側から投票の見返りにジャック・ワーナー元副会長に日本円にして12億円余りの賄賂が支払われたとされているほか、ジャック・ワーナー元副会長は前回2011年6月のFIFA会長選挙に向け、立候補を表明していた当時の幹部の依頼で、投票権を持つメンバーを集めた臨時の会議を開き、幹部が用意したおよそ500万円の現金が入った封筒を、メンバー一人一人に持ち帰らせたとされています。
さらに、アメリカの司法当局が起訴した事件とは別に、スイスの司法当局はワールドカップの2018年のロシア大会と2022年のカタール大会の開催地の選定を巡って不正が行われた疑いがあるとしてことし3月から捜査を始めています。
FIFAの腐敗の体質に批判が高まったにもかかわらず、FIFAは事件が発覚してから2日後の29日、4年に1度の会長選挙を予定どおり行いました。そして、5期目を目指して立候補したブラッター会長が、改革を掲げるヨルダンのアリ王子を上回る得票で、再選されました。
ブラッター会長を巡っては、4期にわたる任期中に腐敗の体質を変えられず、手腕に疑問の声が上がったのに加え、一連の事件に自身も関わっていたのではないかという臆測が強まりました。
それでも再選を決めた翌日の30日に記者会見したブラッター会長は「いったい私が何について逮捕されるというのだ」といらだった様子で事件への関与を否定したうえで、「選挙の結果を見れば、私がこの問題に取り組むべき人間だ」と述べ、改革にみずから取り組む考えを改めて強調していました。

FIFA=国際サッカー連盟ブラッター会長が辞意を表明したことについて、ヨーロッパのサッカー関係者からは辞任は当然だとする声が上がっています。
このうち、会長選挙の前からブラッター会長の辞任を強く求めていたFIFAの傘下にあるUEFA=ヨーロッパサッカー連盟プラティニ会長は、「難しい決断だっただろうが勇気ある、正しい決断だ」とする声明を発表し、辞意の表明を歓迎しました。
イングランドのサッカー協会のダイク会長も、「世界のサッカー界とFIFAにとってよい知らせだ。会長の交代は組織の根本的な改革のために必要だ」としています。


一方、ブラジルの上院議員でこの問題に関する議会の調査委員会の設置を進めた元サッカーブラジル代表ロマーリオ氏は自身のフェイスブックを通じて「ブラッター会長の辞任は世界のサッカー界で新しい時代が始まることを意味する。こうした危機的な問題が起きることはサッカー界を浄化するという意味でむしろ望ましいことだ」と指摘しました。そのうえで、「FIFAはここ数十年金を作り出すだけのマシーンになってしまっていた。この問題をきっかけに人と人をつなぎその間にある壁を壊して熱狂を呼び起こすというサッカー本来の目的を実現するための組織に立ち戻らなければならない」と強調しました。


また、会長選挙で対立候補を支持していたアメリカサッカー連盟のグラティ会長はコメントを発表し、「ブラッター会長がFIFAと、われわれが愛するサッカーを最優先した判断を下したことをたたえたい。
これはFIFA内部で真の、そして意義のある変化が起きるための第一歩で、サッカーへの情熱を共有する人たちに楽観と信じる気持ちをもたらした」と評価しました。