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焦点:ゼロ金利とQEに「賞味期限切れ」の声、バブルや格差懸念 | Reuters

ゼロ金利政策量的緩和(QE)の効果は賞味期限が過ぎた──。資産バブルや格差を心配する有力銀行幹部や専門家、エコノミストらはこう口をそろえている。


主要中央銀行政策金利をゼロ近傍に引き下げ、紙幣を増発し、債券を購入するという異例の金融政策は今や、メリットよりも問題を引き起こしている側面が大きいとの見方が広がっている。


信用環境を極めて緩くすることやQEは、その波及効果と市場を歪める副作用をすべて考慮に入れた場合、金融システムへのショックや信用収縮、デフレの脅威に対する処方せんとして適切だったという点に疑いを抱く人はほとんど存在しない。


だがこうした対応策を称賛した向きでさえも、もう当初の政策的な役割はほとんど終了し、現状では別の害悪をまん延させつつあると感じている。


ある大手英銀幹部はロイターに対して「これほど長く低い金利を続けるのは間違っている。自己満足感をはびこらせ、社会の不平等をもたらしているからだ。QEは実施すべき政策だったが、(今は)ゼロ金利に違和感を持っている」と語った。


この考え方は中央銀行や金融監督当局の関係者にも幅広く共有されており、彼らの間にはインフレ・ターゲティングを掲げる各中銀が昨年の原油価格急落に起因する物価上昇率のヘッドライン下振れのために、あまりにも杓子定規に超低金利をさらに継続させてしまったのではないか、といった不安がある。


超低金利の長期化で懸念されているのは、新たな経済危機や金融市場のショックに対処する金融政策手段がないことや、これまでの大規模緩和で債券と株式の価格がともに経済成長に見合わない形で歴史的高水準に達して不安定化していることだ。


もしも資産価格が実体経済を見失っているとすれば、思い出させる作業を遅らせるよりも早めた方が恐らくは良いだろう。


パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(ピムコ)の債券担当最高投資責任者、アンドリュー・ボールズ氏は「市場を落ち着かせようとしていたり、極度のマクロリスクについて心配しているなら、QEはうまく機能する」と指摘する一方、「経済成長や物価に微調整を加えたいなら、QEはかなりの『なまくら刀』であることが分かる」と話す。


欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁でさえ、先週にはゼロ近傍にあったドイツ10年国債が急上昇した事態について、投資家が慣れる必要があると発言して、ECBのQEが続くことが単純に最大限の国債買い入れにはつながらないことを示唆した。


<格差増幅への批判>


もっとも人々の間で議論を巻き起こし、政策転換に向けた政治圧力を高まらせているのはゼロ金利とQEが資産格差を一段と拡大させているのではないかとの懸念だ。


金融緩和は初めのうちこそ雇用を安定化させてから増やすことで労働者を支えていたが、同時に株式と債券、不動産という最富裕層が主に所有する資産価値を持続的に押し上げ、特に財政支出が切り詰められる中では富の偏在を増幅させている、との見方が多い。


さらにノーベル経済学賞の受賞者のジョゼフ・スティグリッツ氏が手掛けた最新の格差拡大に関する調査研究で、株式や不動産は中間層よりも最富裕層に保有される傾向が強いため、QEが最富裕層の資産を大きく伸ばしたと分析した。年金運用絡みの債券投資からの収入が貯蓄の主要部分を占める中間層は、QEで債券の利回りとリターンが目減りしてしまったという。


例えば2012年以降で、株式投資の総リターンは50%増えているが債券は横ばいだ。モルガン・スタンレーなどが富豪投資家を対象に今年実施した調査では、こうした投資家の資産構成で株式や不動産、オルタナティブ資産は全体の半分から3分の2前後を占め、債券とキャッシュは30%弱だった。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150605#1433500692
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150515#1431686397