独仏、ギリシャに信頼できる提案求める ECB支援枠据え置き | Reuters
ギリシャの国民投票で緊縮案が否決されてから一夜明けた6日、仏独首脳はパリで会談を行い、ギリシャとの対話の扉はまだ開かれているとしながらも、同国は支援協議再開に向け信頼できる提案を示す必要があるとし、チプラス政権に圧力をかけた。
オランド仏大統領はメルケル独首相との会談後の共同記者会見で、「(ギリシャとの)協議の扉はまだ開かれている」と指摘。メルケル首相も「対話への扉は依然として開かれていることを明確にしておきたい」とし、7日のユーロ圏首脳会議はこうした理解に基づいて開かれるとの考えを示した。
ただ、メルケル首相は「具体的な欧州安定メカニズム(ESM)プログラムをめぐる協議を開始する条件は現時点では整っていない」とし、ギリシャは週内に提案を示す必要があると指摘。オランド大統領も、残された時間は多くないと述べ、ギリシャに迅速な対応を呼びかけた。
この日は欧州中央銀行(ECB)がギリシャ銀行向け緊急流動性支援(ELA)を現行水準に維持。さらに、ELAに対し銀行が差し出す担保のヘアカット(割引率)も調整した。
ECBは「責務の範囲内で利用できるあらゆる手段を行使する決意がある」としながらも、ギリシャに圧力をかけた格好だ。
ギリシャではこの日、辞任を表明したギリシャのバルファキス財務相の後任に、国際債権団との協議で代表を務めてきたユークリッド・ツァカロトス氏が指名された。
債権団に不人気だった財務相を交代させることで、チプラス首相は債権団との交渉の取りまとめに真剣に取り組んでいく姿勢を示したとみられる。
ギリシャ政府当局者によると、チプラス首相は6日、メルケル首相と電話で協議し、7日のユーロ圏首脳会議で新たな提案を示すことで合意した。
ECB理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は6日、ギリシャへの新たな支援策について交渉している間のつなぎ融資について、検討することは可能だと指摘。オーストリア国営TVに対し、「それが可能かどうか、議論する必要がある」と語った。
ただ、ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)のデイセルブルム議長は、ギリシャの国民投票で緊縮策が否定されたことにより債権団との交渉はさらに難しくなったとみている。欧州委員会のドムブロフスキス副委員長も、国民投票の結果により、ギリシャと他のユーロ加盟国との間の溝が深まったとの認識を示した。
EU関係筋は、ギリシャが大きな譲歩を示さない限り、7日のユーロ圏首脳会議ではギリシャへの新たな支援策よりも、ギリシャがユーロ圏を離脱した場合の対応のほか、ユーロ圏の結束強化に向けた方策などが主要な議題として取り上げられるとしている。
国際通貨基金(IMF)によると、ラガルド専務理事はギリシャのチプラス首相と国民投票の結果について協議し、そのなかで債務返済の延滞により資金を融通できないと伝えた。延滞規定により資金供給ができない旨を説明したという。