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中国 人民元の基準値を大幅引き下げ NHKニュース

中国の通貨・人民元の為替レートは、中国人民銀行が取り引きの目安として日ごとに「基準値」を定め、その値から上下2%以内に変動を抑えることにしています。中国人民銀行は、11日の基準値を1ドル6.2298人民元と定め、10日の1ドル6.1162人民元から1.8%余り切り下げたと発表しました。人民元の為替レートのドルに対する基準値が、前の営業日に比べて2%近くの大幅な切り下げとなるのは異例のことです。
また、中国人民銀行は基準値の計算の方法についても、11日からドルに対するレートの前日の終値を参考にすると発表し、より実勢のレートを考慮する姿勢を強調しました。一連の対応について中国人民銀行は、「為替レートによる調節機能をこれまで以上に発揮できるようにした」と説明しています。中国経済を巡っては、最新の統計で輸出と輸入が、ともに去年の同じ時期を下回るなど先行きの不透明感が増していて、中国政府としては円やユーロなどに対して値上がり傾向にあった人民元を切り下げることで、国内の製造業を支援し景気の下支えを図るねらいもあるとみられます。

中国の通貨、人民元の基準値が切り下げられたことを受けて、中国への輸出額が大きい韓国や台湾を中心にアジアの通貨が軒並み売られる展開となっています。このうち日本時間の午後3時の段階で、韓国のウォンがドルに対し、10日からおよそ1.8%下落したほか、台湾では台湾ドルがおよそ1%、タイのタイバーツも0.8%、それぞれ値下がりしています。
また、シンガポールでも、10日発表された4月から6月までのGDPの伸び率が1.8%と、前の四半期から大幅に減速したこともあってシンガポールドルが売られ、前日に比べて1.4%値を下げています。専門家は、「韓国や台湾などは中国経済とほぼ一体化しており、中国経済と関係が深い国や地域を中心に、アジアの通貨はしばらくの間、売りの圧力がかかるのはないか」と分析しています。

中国の中央銀行中国人民銀行が通貨・人民元の「基準値」をドルに対して2%近く切り下げたことについて、三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは「中国は、人民元の切り下げで輸出をてこ入れし景気を刺激するとともに、物価の上昇にもつなげたいというねらいがあるとみている。景気減速が続くなか再び政策金利を引き下げるのではないかという見方はあったが、この時期に、突然、基準値の切り下げに踏み切ったことは、市場には驚きを持って受け止められた」と話しています。
一方、野村証券の山口正章エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「基準値の切り下げは、人民元を市場の実情に合わせるための動きで、通貨制度の自由化に向けた動きだと受け止めている。市場には今後も人民元の切り下げを続けるのではないかという見方も出ているが、人民元安に誘導する政策と受け止められれば、これまで人民元のレートが低く抑えられていると指摘し続けてきたアメリカからの批判が強まることが予想される」と話しています。