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アングル:原油先物市場が物語る、相場の長期低迷 | Reuters

原油先物市場でここ数カ月、期先限月の価格が急低下し、原油安が今後何年間も続くとの見通しを映し出しているが、多くのアナリストは年内か来年には価格が反発すると予想している。原油価格が過去1年で半分以下に下がったため、米国を中心に産油企業が生産を抑制して今後は供給が絞られるとの見方が背景にある。


しかしデリバティブ市場は、これとは異なるシナリオを物語っている。


ニューヨーク・マーカンタイル取引所(CME.O)やインターコンチネンタル取引所(ICE.N)などの商品市場に上場している原油先物を見ると、5年後の限月の価格がここ数カ月で急落した。


期近物の原油価格が通常激しく上下するのに対し、期先物はずっと安定的に推移するのが普通だが、最近は様子が違う。


何年も先までの限月をグラフ化した「カーブ」の傾斜は、どんどん緩やかになっている。


コンサルタント会社、エナジー・アスペクツの石油アナリスト、アムリタ・セン氏は「カーブは石油価格がしばらく低迷を続けることを物語っている」と話す。


期先限月流動性が低いこともあり、先物価格が相場の予想を映し出すとは限らない。しかし投機筋が利用したり、石油の生産企業や消費企業がヘッジに使うため、市場心理を把握するには良い指標となる。


<回復は見込めず>


世界の石油生産は現在、需要を日量300万バレル程度上回っており、世界中で過剰在庫をもたらしている。


多くの産油企業は2016年、17年、さらにその先の先物を売ることで、将来の石油生産分の価格リスクをヘッジしてきた。この結果、スポット価格の下落にならって期先価格も下がり、カーブ全体を押し下げている。


金融危機で石油価格が急落した2008ー09年にも、期先限月は比較的良く持ちこたえた。5年先の限月はスポット価格を最大30ドル上回り、「コンタンゴ(順ざや)」と呼ばれる右肩上がりのカーブは、急こう配を保っていた。


しかし現在、スポット価格と5年先の限月とのスプレッドは20ドルを割り込み、カーブの形状はずっと緩やかになっている。


セン氏は「2008年と異なり、現在は不均衡が存在する。シェール企業から日量300万バレル超のヘッジが持ち込まれる。これではカーブの期先側に下押し圧力が働くのは必至だ」と話す。


シティグループのエネルギー調査統括、セス・クレインマン氏も「カーブの期先側の大きな動きが示すのは、2008─09年と異なり、今回は短期的な需要主導の下押しではなく、真に構造的な供給主導の下落だということだ」と語った。


レイマン氏によると、期先物の弱さは投機筋からの需要が大幅に減ったことも反映している。


他のデリバティブ市場も同様のストーリーを提示している。米国産原油プットオプション(売る権利)は1バレル=35ドル、場合によっては30ドルといった安値で盛んに取引されている。


スイスのコンサルタント会社、ペトロマトリックスのオリバー・ジェーコブ氏は「多くのアナリストは、これほどの石油安が長期間続くはずはないと言うが、先物が告げる姿は異なる。しばらくは回復しないということだ」と話した。