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これがハーバードの課題図書!できる人ほど文学を読む ジョセフ・バダラッコ教授に聞く|ハーバードの知性に学ぶ「日本論」 佐藤智恵|ダイヤモンド・オンライン

ハーバードビジネススクールといえば、ファイナンスや会計等、お金に関する学問を教える大学院というイメージが強いが、リーダーとしての教養を身につけるための「歴史」や「文学」の授業もある。拙著『ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか』でも書いたが、ハーバードでは“有能な部下”になるためのエクセル術やプレゼン術は教えない。上司として身につけておくべき教養や考え方を教えるのだ。


中でも文学作品からリーダーシップを学ぶ「モラルリーダー」は、教養系科目の代表格。同科目を20年以上教えているジョセフ・バダラッコ教授は、リーダーシップと倫理が専門だが、世界の文学や日本文化にも造詣が深い。授業でどんな本が課題図書となっているのか、日本人のビジネスパーソンが今、読んでおくべき本は何か、バダラッコ教授に聞いた。

バダラッコ 日本について書かれた本を数多く読むようにしています。日本は世界でも特殊な国で、あらゆる意味で、「高度に文明が進んだ国」です。

佐藤 ハーバードではMBAプログラムで「モラルリーダー」という選択科目を教えていますね。文学作品からリーダーシップと倫理を学ぶというユニークな授業です。なぜこの授業が人気を集めていると思いますか。


バダラッコ 文学作品にはストーリーがあるからです。フィクションでもノンフィクションでも優れた物語が描かれている作品を課題図書として選んでいます。

バダラッコ 虚構の物語であったとしても、人間の思考や感情をリアルに描いているからです。それはそれで真実であると私は考えます。何十年も読まれている優れた文学作品というものは、人間の真理を描いているのです。


 文学作品では主人公や登場人物の頭の中が描写されています。何を考えていて、どんなことを感じて、何を気にしているか、というのがつぶさに分かります。こういうことを考えたからこういう行動をした、という結果までの過程も具体的に理解できます。


 ハーバードのケース教材では、経営者の頭の中までは分かりませんね。だから私はいつも学生に「企業事例と同じようにリーダーの視点から文学作品を読みなさい」と伝えています。文学作品ほどリーダーシップを学ぶのに優れた教材はありません。


佐藤 全く同感です。私が通っていたコロンビア大学ビジネススクールでも、シェイクスピア作品からリーダーシップを学ぶ授業がありました。物語から学ぶと記憶にも残りやすく、リーダーとしての考え方を身につけるには非常に有効だと思いました。日本人の経営者は歴史小説をよく読んでいますが、歴史小説からもリーダーシップを学べると思いますか。


バダラッコ 歴史小説を読むのは良い事だと思いますよ。過去の出来事、歴史的な人物について学べるだけではなく、歴史的事実が生じるまでの過程がよく分かります。これもまた歴史上のリーダーの頭の中が描かれているからです。

佐藤 先生ご自身は現在、偉人の自伝を読んでいるそうですね。


バダラッコ 過去の偉人の自伝等を読みながら、彼らがどのように内省(リフレクション)していたかを調べています。リーダーのリフレクションについてまとめた本を数年後に出版するつもりです。


 私たちには自らの仕事や人生について、少し立ち止まって考える時間が必要ですね。ところが「内省する時間を持つべきだ」とは言いますが、どのように時間を見つければよいのかはよく分かっていません。そこで「責任ある立場の人たちは多忙な毎日の中、どのようにリフレクションをしているのか」を調査することにしたのです。本を読むだけではなく、企業の経営者等にもインタビューをする予定です。

 最も重要な強みは、日本人の「礼儀正しさ」です。日本人は日本人同士でも、外国人に対しても、礼を尽くします。日本人の思いやり、優しさ、細やかな心配りは、大きな財産だと思います。


 2つめは、組織力と技術力です。日本は国土が狭く、資源に恵まれた国ではありません。1億人以上の国民が狭い島国に住んでいる。その環境が忍耐強く、技術に優れた国民を生み出しました。こうした強みがあったからこそ、日本は工業大国となったのだと思います。


 3つめは、日本人の美的センスです。これは最初の2つよりは重要な要素ではないかもしれませんが、私がいつも感心している点です。日本の方々は、どんな些細なことでも、何か自分なりに少し工夫を加えようとするでしょう。そこに私は芸術的センスを感じるのです。だから日本の製品は美しくて魅力的なのだと思います。


 お店で商品を買えば、商品も美しければ、包装のしかたも美しい。町を歩けば、鮮やかな色のほうきで掃除をしている人がいる。ほうきの柄の色と穂先の色を別々の原色カラーにする、というような発想は日本ならではだと思います。日本には日常的に美意識が育成される環境があります。日本人の美的センスも、日本の強みとして生かせると思います。

佐藤 日本人のリーダーシップは世界に貢献できるでしょうか。


バダラッコ 私が数年前に『静かなリーダーシップ』という本を書いたのをご存知だと思います。静かなリーダーとは、「忍耐強くて慎重で、段階を経て行動する人」、あるいは「自分の組織、周りの人々、自分自身にとって正しいと思われることを目立たずに実践している人」のことです。静かなリーダーは世界中で活躍していますが、日本ほど「静かなリーダー」が多い国はありません。


 机をバンバン叩いて、自分の考えを叫ぶことがリーダーシップだ、と勘違いされている人もいるでしょう。ところが、必ずしもリーダーはカリスマ性にあふれたヒーローであるとは限りません。慎重で目立たないが素晴らしい業績を上げている人も多いのです。


 静かなリーダーシップというのは、今の時代、高く評価されているリーダーシップスタイルです。特にアメリカにはもっと静かなリーダーが必要です。多種多様な経歴を持った人々をまとめるには、忍耐強さと慎重さが必要だからです。


 日本人が得意な静かなリーダーシップが、今、求められています。日本人がリーダーシップにおいても世界に貢献していくことを期待しています。

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