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ジェフ・ベゾスは業界を敵に回しても顧客第一を貫いた|超ロジカル思考 発想トレーニング|ダイヤモンド・オンライン

 前回、エンジニアではない“素人”のスティーブ・ジョブズが、並み居るエレクトロニクスメーカーのエンジニアたちを出し抜いて、クラウドサービス型のビジネスモデルを最初に確立したことについて述べた。こうした意味では、ベゾスも“素人”といえる。彼はアマゾン・ドット・コムを立ち上げるまで、伝統的な小売業で働いた経験はない。


 ベゾスは大学卒業後、ウォールストリートの金融機関を経てヘッジファンド、D.E.Shaw&Co.に入社し、シニア・ヴァイス・プレジデントまで昇進した。しかし、1994年春に インターネットのポテンシャルに気づき、同社を退職、電子書店を立ち上げた。小売業の領域においては、文字通り“素人”だったのだ。

 情報革命後の世界においては、こうしたユーザーの無意識の世界に訴え、驚きや快感をもたらす方法の発見こそが価値を生み出す。すでに公共財になってしまった「常識」が、新たな価値を生むことはないのだ。このため、ベゾスはグーグルの創業者と同じように徹底した秘密主義をとる。それが時として、社会から敵視される原因になっても、まったく怯むことはない。


 さて、業界の常識を疑うことは、多くの場合、業界関係者を敵に回すことを意味する。アマゾンもこれまで、バーンズ&ノーブルなどの大手書店チェーンや大手出版社、トイザらスなど書籍以外の大手小売企業など、並み居る業界の強者と激しくぶつかってきた。しかし、アマゾンのような素人の方が、玄人に勝ってしまうことがある。それはなぜだろうか。


 業界の常識の中には、多かれ少なかれ欺瞞が隠されている。顧客の利益ではなく、自分たちの既得権を守ろうとする欺瞞だ。

「我々は正真正銘、顧客第一です。しかし、ほとんどの企業は違います。顧客ではなく、ライバル企業のことばかり気にしています」


 つまり、自分の縄張りや既得権を脅かすライバルにばかり意識を奪われるうちに、顧客が見えなくなってしまうということだ。ベゾスはそこにチャンスを見出し、「顧客に最善の判断を行う機会を提供する」ことに自社の価値を見出している。その結果、業界関係者が嫌がることをやったり、時として自社にとっても不利なことを実行に移している。


 否定的なレビューもそのまま掲載することで、出版社や作家と揉めることなど日常茶飯事だ。出版社やメーカーに対して購買力を誇示して買いたたいたり、ライバル企業を買収するために価格競争を仕掛けることをためらわない。それが顧客のためになると考えているからだ。


サードパーティが売る中古書籍を新品と並べて売り、そちらの方が安ければ、顧客にそちらを選択してもらう。その結果、売上が減ることを懸念した出版社協会や、印税が減ることを心配する作家たちから抗議を受けても気にしない。それどころか、自社内で新品を売る部門をも敵に回している。

 社内の関係者に言わせれば、「まあ、いつものことなのですが、ジェフ対世界という感じでした」ということになる。それでも、顧客の利益を追求することが結果的にアマゾンの発展につながることが後から明らかになっていく。ベゾスは世間の常識が間違っていたことを幾度となく証明してきたのだ。


 ドットコム・バブルが崩壊した頃、リーマン・ブラザースのアナリスト、ラビ・スリアがアマゾンの破滅を予測した。それは、インターネット革命により既得権を脅かされそうになっていた人たちから、福音として歓迎され、一時期は社会全体を敵に回すような様相を呈した。しかし、顧客の利益につながることをやっていれば、必ず世の中から必要とされると考えていたベゾスは、まったく動じるところがなかったという。その結果、最終的にドットコム・バブルの崩壊を生き延び、社会の見方を覆すことに成功した。むしろ、リーマン・ブラザースの方がその後破綻してしまったのは皮肉な話だ。ベゾスはこう言う。


「私は金の亡者ではなく伝道師だ。ただ、何とも皮肉なことに、伝道師の方がお金を儲けてしまう」

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160309#1457520152

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