支持者が信じていることと政治家の本音が正反対というのはよくあることである。今の日本でも「アベノミクスは消費税増税さえなければ成功したんだ」などとズレた意見をよく聞くが、冷静に見れば増税こそアベノミクス定食のメインディッシュである。米国に倣った格差拡大=富の逆再分配が目的の政策なのだから当然だが、そこに気づかせないためにプロパガンダ技術というものがある。かくして、もっとも政策の犠牲者になる人たちが、なぜか一番の熱心な支持者になるという不可思議現象が起こる。
年に一夜限り、あらゆる犯罪が合法となるパージ法。そんな近未来のアメリカで、鍛え抜かれた肉体を持つレオ(フランク・グリロ)は完全武装でその夜を迎えた。彼は改造した防弾使用のマスタングを駆り、悲壮なる表情でパージの夜に発つ。
このシリーズの世界観の最大の特徴であるパージ法も、まさにアベノミクスと同じである。大勢が信じる「目的」と、為政者側の考える「目的」は真逆であり、強力なプロパガンダで国民を洗脳することで真相を隠している。前作含め、この2本の映画が言いたかったのは、要するにそういうことだ。
#幸せ者
前田氏の映画評にあった安倍批判。格差拡大について。もちろん、安倍総理自身が格差拡大を狙ったわけではなくて、誰かに「日銀リフレで万事順調にいく」と吹き込まれたからだと思う。どんどん金融緩和すれば、まずは資産市場(株や不動産)が反応するが、恩恵を受けるのは株持ちや土地持ち。
FRBのQEも結局はバブリー政策であって貧富格差が拡大し、脱落した中間層の不満がトランプなどの台頭を招いた。基軸通貨でドルが動きやすく、日本より インフレ期待が高いこともあり、物価が高めであることが「リフレ効く効く」と喧伝され、安倍氏も物価の方を効果としてみたのだろう。
「日銀リフレすれば万事順調」を吹き込まれた以上、増税してもOKと思っただろうし、改革しても、自由貿易しても、ベースマネーさえ増やせば物価と成長が相関して上昇していく、と思っていたに違いない。
— 本石町日記 (@hongokucho) 2016年3月27日
長年のリフレ刷り込みのお陰か、リフレを語る際の安倍総理の表情は、少しヤバい感じのアレで、よどみもなくリフレワードが飛び出すところは、相当な刷り込みがうかがえる。目の前で、麻生大臣が竹中氏をけなしても、自分のリフレとは違う、と思っているのかもしれない。
— 本石町日記 (@hongokucho) 2016年3月27日
「日銀リフレで万事順調」なら、財政健全化も構造改革もやりたい放題、自由貿易も全然平気となるわけで、実際にはしかし、ベースマネーと実体経済に有効なチャネルはなきに等しいので、過度な金融緩和に資産(株と都心の土地)だけが吹いて、貧富格差が開くのは当たり前と言えば当たり前。
— 本石町日記 (@hongokucho) 2016年3月27日