ネスレと味の素が強者タッグ、世界で協業も|Close-Up Enterprise|ダイヤモンド・オンライン
もともとネスレ日本は医療機関や介護施設への販売網が強く、味の素は家庭向け販路を自前で持つ。それぞれの強みを生かすかたちでタッグを組んだ格好だ。
これまで両社は、コーヒーブランドの「ネスカフェ」(ネスレ)と「ブレンディ」(味の素)が競合し、ライバル関係にあった。その両社が栄養補助食品でパートナーという新しい関係をスタートさせるわけだが、ネスレはなぜ味の素をパートナーに選んだのか。
彼らが取り込みたかったのは、味の素が持つアミノ酸のR&D(研究開発)である。味の素は、業界で「アミノ酸研究の分野で世界一」といわれており、栄養補助食品市場においてその力は大きな意味を持つ。
人間の体の約20%はタンパク質で作られているが、そのタンパク質を構成しているのが20種類のアミノ酸。アミノ酸は人間にとって必須の栄養素であり、栄養補助食品の要である。
提携内容には、味の素のR&Dの提供は含まれないが、高い研究開発力を誇る味の素の商品の独占販売権を得ることで、競合他社との差別化を図れる。
近年は、手軽に摂取できる経口栄養食の需要が高まり、消費者は「おいしさ」も求め始めている。しかし、おいしさの基準は国や地域で異なるため、各市場の嗜好に合った商品の開発は極めて難しい。そこでネスレは、アミノ酸の組み合わせによって“味覚を科学”できる味の素の技術に注目し、アプローチしたのである。
味の素にもうまみはある。「うちはR&Dは強いが、栄養補助食品の分野は世界で販路がない」(味の素幹部)のが悩みで、世界中に販路を持つネスレと組めば一気に拡販でき、「20年までに食品企業でグローバルトップ10入りを果たす」という目標の達成に一歩近づく。