https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

オークションは確実に損する|あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門|ダイヤモンド・オンライン

冷静に考えればわかることだが、これはちょっとおかしな話だ。最終的にあなたがそのチケットを落札できたのだとしたら、あなた以外のすべての市場参加者は「いやいや、そんな大金を出すほどの価値はないよ……」と考えているからだ。


つまり、オークションの落札者はつねに、みんなが考える適正価格よりも割高な買い物をしていることになる。言い換えれば、オークション出品者は合法的に「世界一の高値づかみ」をさせることに成功しているのだ。


このように、取引事例をもとに決まる市場価格は、現実の価値から大きく乖離することがある。その最たるものがバブルだ。5000万円の価値しかないマンションが、いつのまにか値上がりを続け、1億円とか2億円で取引されるようになるのは、人々が市場の取引価格だけを見るからである。

さらに、マーケット・アプローチにはもう1つ根本的な欠陥がある。それは、比較対象が存在しないとき、あるいは、参考となる取引事例が存在しないときに、まったく機能しなくなるということだ。

実を言うと、僕が経営しているのは、まさにこの企業価値評価(ファイナンス用語でバリュエーション)を専門にした会社だ。特定の金融機関や監査法人に属していない独立系の企業としては、国内でトップの業績を上げ続けている。


会社というものの値段が問題になるのは、わかりやすいところで言えば、企業買収のような局面だ。

「なぜ銀座のコーヒーは高いのか?」


これに対するファイナンス理論の答えはこうだ――銀座では高いコーヒーでも売れるから。

まず、ファイナンスはコスト・アプローチとまったく逆の考え方をする。つまり、「銀座の地価が高いから、コーヒーが高い」ではなく、「銀座ではコーヒーが高いから、地価が高くなる」というように、因果関係が真逆なのだ。

では、なぜ銀座ではコーヒーの値段を高くしても売れるのだろうか?


銀座でコーヒーが高くても売れるのは、高い値段でも商品を買う顧客がいるからだ。では、なぜ銀座にはそういう人が集まるのだろうか? 東京駅からのアクセスのよさ、立ち並ぶ高級ブランド店や大手デパートや、高級レストランやおしゃれなカフェなど、銀座が人を集める要素は数多くある。


ただ、このような銀座という街のインフラだけが集客力の源泉かというと、それだけではない。もし街のインフラだけがカギなのだとすれば、東京駅から同じ距離にある茅場町や八丁堀に、銀座よりもお金をかけた商業施設をつくればいいだろう。しかし、どれだけお金をかけても、銀座のような街を人為的につくることはなかなか難しい。


では、集客力の源泉は何かといえば、それは銀座が持つ歴史や、この街が醸し出す雰囲気――ひと言でいえばブランドだ。ブランド力が銀座に人を集め、高い買い物をさせる原動力となっているのである。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160425#1461580647
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20151007#1444214282