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【入山章栄×佐渡島庸平】未来のエンターテイメントのビジネスモデルを考える <最終回>|ぼくらの仮説が世界をつくる|ダイヤモンド・オンライン

佐渡島 『ぼくらの仮説が世界をつくる』でも書いているんですが、常に抽象から具体への思考の行き来、帰納法演繹法による考えの行き来をしているんです。でも、みんなこの思考が結構できていないんですよね。僕はずっとそういう考え方をしている。だから、一つのアクションも結局何につながっているのかを重視しているというか。

 だから、僕は、ほぼメモを取らないんです。でも、数百個あるタスクを、ほとんど忘れない。やらないといけないことは、すべて基本概念にカテゴライズして記憶している。


 上位概念の下に4つくらいのミッションを設定して、さらにその下に20個ぐらいの枝葉があって、さらにその下に100個ぐらいの達成すべき事項があって、最終的には500個ぐらいのタスクがある。そうすると、初めの4つのミッションさえ思い出せば、バーっと下のタスクまで降りていけて、思い出せるんですよね。


 土日とか暇なときに、丁寧にタスクを下っていくから、全タスクが最終的に思い出せて、忘れることはない。一方で、みんなはいきなりこまごましたタスクを記憶しようとするから、漏れが起きちゃうんですよね。

佐渡島 それで、僕は上位のミッションというか抽象概念のところを、鋭くして言語化すれば、ビジネスとしては最終的に勝てるだろうなと思ってもいるんです。だから、タスクをたくさんこなしていくよりも、経営学者みたいな人たちと話して、上位概念にある抽象的なところだけいっぱいしゃべりたい。そこを鋭くしたい。


入山 そうですね。経営学者じゃなくてもいいのかもしれませんけど、やっぱり学者の仕事って理論化であり抽象化なので。佐渡島さんのような思考法を、学者以外でする人って珍しいと思います。いい経営者はできているのかもしれませんが。


佐渡島孫正義さんの社長室の人にお会いしたときに、「孫さんは細かいことから抽象的なことへの解像度がすごい」と言っていました。両方漏れがない。ソフトバンクの店頭での、ちょっとした業務のことを話していたと思ったら、「次はインド市場だ」みたいなことを急に言い出す。1日の中で何度も、何度も、抽象概念と具体的タスクの行き来をする。やっぱり、ぼやっとしてる人はこの行き来が弱いんですよね。


入山 そういう振り幅みたいのが、すごく大事だと僕も思います。内省して抽象した考えと、現場の具体感みたいなものの両方が必要。僕が、こういう対談などをさせてもらうのも、それが一つの理由で。学者は、ずっと抽象的なことを考えているんで、経営者の人の現場感を感じ取りたいんですよね。