NATO バルト3国とポーランドに部隊配備へ | NHKニュース
NATOの国防相会議は14日から2日間の日程でベルギーのブリュッセルで始まり、初日はロシアの軍事動向を中心に話し合いました。
この中で各国は、ロシアに隣接するバルト海沿岸のエストニア、ラトビア、リトアニア、そしてポーランドに、加盟国で構成する合わせて4つの多国籍部隊を配備することで合意しました。
部隊はいずれも1000人程度の規模になる見通しで、アメリカ、ドイツ、イギリスの軍が中心的な役割を担う方針だということです。
NATOはおととし、ロシアがウクライナ南部のクリミアを併合して以降、ロシアの軍事的な脅威が高まっているとして、防衛力の強化を進めてきました。
これまでに有事の際の即応部隊を3倍の4万人規模に拡大したほか、先月にはルーマニアでミサイル防衛システムの一環となる地上配備型の迎撃ミサイルの運用を始めています。
会議のあとの記者会見で、NATOのストルテンベルグ事務総長は「ロシアとは対決ではなく対話を望むが、いかなる脅威に対しても防御の手は緩めない」と述べました。
こうした動きに反発を強めるロシアが対抗措置に出る懸念もあり、NATOは来月、ポーランドで開く首脳会議で、今後の防衛戦略について協議することにしています。
NATO=北大西洋条約機構が部隊を派遣することを決めたポーランドでは現在、アメリカを含めたNATO加盟国とともに過去最大規模の軍事演習を行っていて、ロシアに対抗する構えを改めて鮮明にしています。
今月7日に始まったポーランド軍の軍事演習には、NATOに加盟するアメリカやヨーロッパの各国をはじめ、ロシアと敵対するウクライナなど合わせて23か国が参加しています。
14日は航空機の支援を受けながら敵に占拠された村を兵士たちが奪還する訓練が行われ、その様子が報道陣に公開されました。
およそ3万1000人が参加する今回の軍事演習には、戦車などの車両、およそ3000台、戦闘機などの航空機100機余りが投入される予定で、ポーランドで行われる軍事演習としては1989年の民主化後、最大規模となります。
ポーランドやバルト3国はウクライナ情勢を巡って、ロシアの軍事的な脅威に対する懸念を強めていて、今回の軍事演習でアメリカをはじめとするNATOの加盟国と軍事面での連携を深め、ロシアに対抗していく姿勢を改めて鮮明にしています。
NATOの国防相会議がバルト3国とポーランドに4つの部隊を配備することで合意したことを受け、ロシア外務省でヨーロッパを担当する局長は地元メディアに対し、「ロシア国境に向けた危険な軍事的な拡大だ。われわれに何らかの回答を迫ったものだ」と述べ、強く反発しました。
また、ロシア国防省もプーチン大統領の指示を受け、ロシア全土で14日から軍の即応態勢の確認や予備役の兵士を直ちに招集できるかなどについて抜き打ちの検査を始めたことを明らかにし、NATOへの対抗姿勢を鮮明にしています。
ロシア側はNATOの東方拡大と、アメリカが地上配備型の迎撃ミサイルの運用を東ヨーロッパのルーマニアで始めたことに反発を強めていただけに、今回のNATOの決定によって今後、ロシアと欧米の対立が一段と深まることが懸念されます。
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