中国は戦前の日本と同じ過ちを犯し自滅に向かっている|ロシアから見た「正義」 “反逆者”プーチンの挑戦|ダイヤモンド・オンライン
10年9月、「尖閣中国漁船衝突事件」が起こる。どう見ても中国が悪いのだが、同国は日本に「レアアース禁輸」など過酷な制裁を課し、世界を驚かせた。この時期から、中国政府の高官たちは、「尖閣は、わが国『固有の領土』であり、『核心的利益』である」と世界中で公言しはじめた。
12年9月、日本政府、「尖閣国有化」を決定。これで、日中関係は「戦後最悪」になってしまう。以後、中国は、「領海侵犯」「領空侵犯」を繰り返すようになっていく。12年11月、中国は、ロシア、韓国に「反日統一共同戦線」の創設を提案。中国の代表団はモスクワで、「日本には尖閣ばかりか、沖縄の領有権もない」と断言した(「反日統一共同戦線」戦略の詳細はこちらを参照)。
13年11月、中国は尖閣も含む「防空識別圏」を設定。このように、中国は、10年以降、特に12年9月の「尖閣国有化」以降、徐々に挑発をエスカレートさせている。「反日統一共同戦線」戦略で宣言されているように、中国は「日本には尖閣の領有権も沖縄の領有権もない」とはっきり主張している。その上で、挑発行動を徐々に強めているのだから、「まず尖閣を、その後沖縄を奪うことを意図している」と考えるのが自然だ。
ところで、上にあげた記事には、重要な続きがある。実をいうと、この時、接続水域に入ったのは、中国鑑だけではなかったのだ。再び産経新聞6月10日付(太線筆者。以下同じ)。
<これに先立ち、8日午後9時50分ごろ、ロシア海軍のウダロイ級駆逐艦など3隻が尖閣の久場島と大正島の間を南から北に向かって航行しているのを海自護衛艦「はたかぜ」が確認した。9日午前3時5分ごろに接続水域を離れた。>
中国より先に、ロシア軍艦が入っていた。これは、当然「中国とロシアが一体化して行動した」と見るべきだろう。米国も、「中ロが日米同盟を牽制している」と受け止めている。
オバマと国務省は、「中国と対峙するためにロシアと和解する」という「リアリズム外交」を行っている。しかし、米国防総省は「中国もロシアも封じ込める」という、「単独覇権戦略」をいまも継続しているのだ。具体的には、NATOの強化と拡大である。
NATOは、「反ロシア」の「巨大軍事同盟」で、ソ連崩壊後、拡大をつづけている。かつてロシア(正確にはソ連)の影響下にあった東欧諸国も、ロシア(正確にはソ連)の領土だったバルト三国も加盟している。さらに米国は、旧ソ連国でロシアの隣に位置するウクライナやグルジアを、NATOに加盟させたい。
オバマ・国務省の「和解路線」と、国防総省の「対立路線」。この「二面外交」がプーチンを不審にさせ、「事実上の同盟国」である中国から離れることができないのだ。つまり、今回のロシア軍艦の動きは、「中国に依頼された」ということだろう。それ以外の理由は、見当たらない(「米国の外交が分裂している」と書くと、「そんなバカな!」と思う人もいるかもしれない。しかし、省によって、ある国へのアプローチが違うことは、よくあることだ。たとえば、米財務省は明らかに「親中」だが、国防総省は、はっきりと「反中」である)。
ここまででわかることは、何だろうか?中国は、日本だけでなく、米国、インドに対しても挑発行動をしている。しかし、これはむしろ「逆効果」だ。中国の行動で、日本、米国、インドが、「怖いから協力関係は解消しよう」とは決してならない。むしろ、日米印は「対中国」で協力関係を深化させていくことだろう。つまり中国は、「墓穴を掘っている」のだ。
「日本はなぜ先の大戦で負けたのか?」――。いろいろ答えはあるだろうが、筆者は、「孤立したから負けた」と考えている。日露戦争が終わった1905年当時、日米英の関係は非常に良好だった。しかし、日本は同年、(戦勝の結果ロシアから日本に移譲された)「南満州鉄道を共同経営しよう」という米国の提案を拒否。戦時中多額の資金援助をしてくれた同国との仲を悪化させてしまう。
ついで日本は、第1次大戦(1914〜1918年)中、同盟国英国の再三の「陸軍派兵要求」を拒否しつづけ、同国に「日英同盟破棄」を決意させてしまった(1923年に失効)。日英同盟失効から10年後の1933年、日本は「満州国建国」に反対されたことを理由に、国際連盟を脱退し、国際的に孤立した。
結果、1937年に日中戦争がはじまった時、日本は、米国、英国、ソ連、中国を敵にまわしていたのだ。
これでは勝てるはずがない。そもそも、日本が満州に進出した安保上の理由は、ロシア(後にソ連)の「南下政策」を阻止するためだった。もし米国を「南満州鉄道」に入れておけば、どうなっただろう?米国が「ロシアの南下」を阻止するので、日本の脅威は大いに減っていたはずだ。ところが実際の日本は孤立し、破滅した。
中国は今、当時の日本と同じ道を突き進んでいる。中国は、日本、米国、インドを愚かにも同時に挑発している。南シナ海では、ベトナム、フィリピン、インドネシアなどと争っている。一方で、北朝鮮の暴走を事実上黙認しているので、子分だった韓国も、日本と和解して米国の影響下に戻ってしまった。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160630#1467282874
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160609#1465468922
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160608#1465382293
#NATOexpansion