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超一流と一流では、努力の仕方にこれだけ差があった|World Voiceプレミアム|ダイヤモンド・オンライン

 生まれつきの才能か、それとも積み重ねた努力か――。


 それを解き明かすため、私はバイオリン科の教授に協力を依頼し、卒業後に世界トップクラスのバイオリニストになることが確実な生徒(Sランク)、優秀ではあるものの世界で活躍する程の実力は持っていない生徒(Aランク)、そして教員コースに進んだ生徒を、それぞれ10人ずつ選出しました。


 そして、彼らがバイオリンを習い始めてから今まで、一体どれほどの時間を練習に費やしてきたのかを徹底的に調査したのです。


 すると、3つのグループの間で、18歳になるまでの練習時間の合計に、大きな差があることがわかりました。まず、教員コースに入学した学生は、18歳になるまでに平均で3420時間の練習を積んでいました。これは、趣味でバイオリンを弾いている人とは比較にならない程の練習時間です。しかし、Aランクの学生はそれをさらに上回る5301時間、そしてSランクの学生は7410時間もの練習を積んでいたのです。


 ここで注目すべきなのは、練習時間の差が、そのまま能力の高さに直結しているところです。彼らはみな、ドイツ最高の音楽大学に合格した、才能ある音楽家たちです。そうしたハイレベルな人たちの中でも、練習時間の差が、そのまま能力の差に繋がっていたのです。


 また、彼らの中には、比較的少ない練習時間で高い能力を獲得することができた、いわゆる「天才」は一人もいませんでした。つまり、人よりも優れた能力を得るためには、人よりも多くの練習を積むしかない、ということです。


 その後、ダンサー、テニスプレーヤー、数学者、チェスプレーヤーなど、対象を変えて同様の研究を行いましたが、やはり結果は一貫しており、「能力の差は練習時間の差」で説明できることがわかったのです。


 私がこうした研究結果を発表した後、その論文内容を引用して、「1万時間の法則」というフレーズが生まれました。これは、「どの分野でも、達人の域に達するためには1万時間の練習が必要だ」という法則です。確かに私は、トップクラスのバイオリニストが20歳になるまでに費やした練習時間の平均として、この1万時間を挙げました。


 しかし、この法則は、「超一流」研究が解き明かした、非常に重要な要素を見落としています。それは、「ただ努力するだけでは、能力は向上しない」という点です。つまり、超一流になるためには、「正しい努力(=練習)」をしなければならないのです。

 私はその練習法を、「限界的練習」と呼んでいます。「限界的練習」の一番の特徴は、自分にとっての「居心地が良い領域(コンフォート・ゾーン)」から飛び出し、限界を少しだけ超える負荷を自身にかけ続けることにあります。