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米石油会社エクソンモービルのレックス・ティラーソン会長兼最高経営責任者(CEO)は、トランプ次期米政権の国務長官に指名される前から自前の「国務省」とも言うべき組織を従えていた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。


  テキサス州ダラス郊外のエクソン本社には、存在がほとんど知られていない情報活動部門が置かれており、経営幹部がいつ海外交渉に臨んでもいいように世界の経済・社会・政治情報の収集・分析を行っているという。


  これら関係者によれば、情報活動チームはエクソンが資産ないし人員を有する全ての地域や、投資を検討する可能性がある地域のリスク特性をまとめている。そしてロシアのプーチン大統領ら海外要人との会談も含め、ティラーソン氏が関与する全ての会合にこうした情報を提供して支援してきた。同関係者は公の場で発言する立場にないとして匿名で明らかにした。


  エンジニアでエクソン生え抜きのティラーソン氏の国務長官指名は、同氏が公職経験を持たない上に外交の素人だとして批判の的となった。しかし同関係者によれば、ティラーソン氏らエクソン幹部は情報活動チームから定期ブリーフィングを受けてきた。情報は、エクソンの戦略立案部門が収集した経済情勢やトレンドの確かなデータ、学術誌や政府声明などオープンソース情報、海外外交関係者との情報交換、在外勤務のエクソン幹部からの機密リポートなど多岐にわたっており、これらに基づいたリスク評価の形で幹部に提供されている。


  石油輸出国機構(OPEC)のバルキンド事務局長は15日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「ティラーソン氏は世界中で尊敬されており、深い知識を有している」と発言。「石油と外交、地政学は地続きの分野だ」と説明した。


原題:Tillerson’s Foreign Prowess Said Aided by Exxon Intelligence Arm(抜粋)


ティラーソン氏は経営者として実に豊富な経験を携えて国務省入りする。彼は、石油・ガスの採掘からロジスティクス、建設、人事、リスク管理、政府対応、代替エネルギー開発に至るまで、あらゆる事業に関与する年商3850億ドル(約45兆5000億円)のコングロマリットを経営してきた。

「便利な場所に石油は見つからない」という言葉があるように、ティラーソン氏がこれまで相手にすることになったのは、世界で最も問題の多い一部国家の首脳たちだった。ロシアのプーチン大統領ベネズエラチャベス前大統領といった人々だ。ティラーソン氏が彼らを相手に交渉を成功させてきたことは、プラスにこそなれ、マイナスにはならない。

実のところ、ティラーソン氏の公的な発言から判断する限り、彼は外交においては現実主義だと思われる。共和党員としては、ラムズフェルド元国防長官やチェイニー前副大統領というよりは、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領や同元大統領の政権などで国家安全保障担当大統領補佐官を務めたブレント・スコウクロフト氏のタイプだ。

トランプ氏は、連邦政府による国内政策・外交政策を根本的に変えるという綱領を掲げて大統領選を戦い、勝利を収めた。トランプ氏は企業幹部を閣僚に加えたいと発言していた。彼らの方が、実社会での経験に乏しい政治家であった前任者たちよりも「勝ち方」を知っており、「有利な」取引を結ぶ術を心得ているから、というのがその理由だった。


ティラーソン氏の指名によって、トランプ氏はその目標を達成したことになるだろう。