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アメリ国務省のゴールドスタイン次官は、記者団に対して、「ティラーソン長官は、重要な安全保障上の問題で進展が見られるため、職務を続けたい意向だった。ティラーソン長官は、けさトランプ大統領と話をしておらず、解任の理由を知らない」と述べました。


一方、トランプ大統領は、CIAのポンペイオ長官に対して「われわれの関係はいつも良好で、それこそ私が国務長官に求めるものだ。彼はすばらしい国務長官になるだろう」と述べ、期待を示しました。


トランプ大統領は、これに先立ち、ホワイトハウスの報道官を通じて発表した声明でも「ポンペイオ長官は、世界でアメリカの立場を復活させ、同盟関係を強化し、われわれの敵に立ち向かい、朝鮮半島の非核化を求めていくというアメリカの取り組みを続けていく」としていて、北朝鮮の核問題などへの手腕に期待を寄せています。

大統領のポストが空席になった場合、継承順位がもっとも高いのが副大統領で、次いで上下両院の議長、その次が国務長官となっていて、国務長官の継承順位は4番目で、閣僚のなかでは最も高くなっています。

マイク・ポンペイオ氏は54歳。


トランプ政権で、CIA=中央情報局長官を務め、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の情報収集などにあたってきました。


陸軍に所属したあと、CIA長官就任まで与党・共和党の下院議員を務めました。前のオバマ政権がイランと結んだ核合意を強く非難し、対イラン強硬派として知られています。


アメリカメディアは、ポンペイオ氏がティラーソン国務長官の後任に浮上したのは、CIA長官として毎日のようにトランプ大統領に国際情勢に関する報告を行い、それを通じて厚い信頼を得たからだと伝えています。


専門家のあいだでは、ポンペイオ氏の指名が承認されれば、トランプ大統領外交政策をめぐり意見の違いがあったティラーソン長官と比べて政権内の一体化が進む一方、対イラン政策などでの強硬な外交姿勢がより鮮明になるとの見方が出ています。

CIAのポンペイオ長官は、ホワイトハウスの報道官を通じて声明を発表し、「トランプ大統領による外交政策の策定や実行にあたって、世界最高の外交団を率いることを楽しみにしている」と述べました。

ティラーソン氏は、アメリカの第69代目の国務長官に去年2月1日、就任しました。任期は、およそ13か月になります。


国務長官の任期途中の辞任は過去にも事例があり、直近では、1992年、ブッシュ政権で、ベーカー国務長官が、大統領首席補佐官への就任に伴って辞任したケースがあります。


ただ、ティラーソン氏よりも任期が短かった国務長官は、120年前までさかのぼらなければ存在せず、就任から1年余りの辞任は異例の短さです。


ちなみに、その120年前の国務長官は、1898年の9月に、就任からおよそ5か月で辞任したデイ氏です。当時のマッキンリー政権の国務長官として、アメリカとスペインの戦争の対応に当たり、戦争終結の交渉団を率いるために職を辞しました。

アメリカ合衆国大統領の継承順位 - Wikipedia

アメリカ合衆国上院仮議長 - Wikipedia

仮議長は上院によって選出され、慣例的に多数党の最長老議員が務めることとなっている。ただし通常は、副大統領も仮議長も議会を主宰することはない。議会を主宰する任務は、一般的に多数党の新米上院議員に委ねられる(上院仮議長代行 Acting President pro tempore)。これは、彼らに議事手続きを学ばせるためである。正議長である副大統領は討論や通常の投票を行うことができないのに対し、仮議長は本会議や所属委員会において一般議員同様に発言権を持ち投票に加わる。


トランプ大統領は、日本時間の13日夜、みずからのツイッターに「CIAのポンペイオ長官がわれわれの新しい国務長官になる。彼はすばらしい仕事をするだろう」と書き込み、ティラーソン国務長官を解任することを明らかにしました。


この後、トランプ大統領は、記者団に対して、ティラーソン長官への感謝の言葉を述べる一方、「意見があわない点もあった。イラン核合意については私はひどいと考えたが、ティラーソン長官は大丈夫だと感じていた」と述べ、前のオバマ政権が結んだイランの核合意など外交方針をめぐって意見の違いもあったことを認めました。


トランプ大統領とティラーソン長官との間では、北朝鮮の核・ミサイル開発の問題などでも意見の食い違いが指摘され、辞任や解任の臆測が飛び交っていました。


トランプ大統領がこの時期に解任を決めた理由について、ホワイトハウスの高官は、ことし5月までに行われる見通しの米朝首脳会談と、今後の貿易交渉に向けて新しい態勢で臨むためだと説明しました。


トランプ大統領は、新しい国務長官に指名したCIAのポンペイオ長官について「世界でアメリカの立場を復活させ、同盟関係を強化し、われわれの敵に立ち向かい、朝鮮半島の非核化を求めていくというアメリカの取り組みを続けていく」とした声明を発表し、北朝鮮の核問題などへの手腕に期待を寄せています。


ポンペイオ長官は、ティラーソン長官に比べて、北朝鮮やイランなどに厳しい強硬派と言われていて、議会の承認を経て就任したあと、アメリカの外交にどのような影響を及ぼすのか、注目されます。

トランプ大統領がティラーソン国務長官の解任を決めた理由について、ホワイトハウスの高官は13日、NHKなどの取材に対し、2人の間にはイラン核合意をめぐって意見の違いがあったことに加え、米朝首脳会談や貿易協議などをめぐる対応を新しいチームを当たらせたいとトランプ大統領が考えたと明らかにしました。


この高官によりますと、ケリー大統領首席補佐官が今月9日、トランプ大統領による解任の方針を、電話でティラーソン国務長官に伝えたということです。


2人は翌日の10日も電話で話し、解任の時期には触れなかったということですが、「ティラーソン国務長官は解任が近いということはわかっていたはずだ」とこの高官は話しています。

ホワイトハウスの高官は、トランプ大統領がティラーソン国務長官の解任を発表した直後、「国務長官は解任の理由を知らない」と記者団に説明したゴールドスタイン国務次官を解任したと明らかにしました。


この高官は理由を明らかにしていませんがホワイトハウスは、ケリー大統領首席補佐官が今月9日にティラーソン長官に電話して、解任する方針を伝えたと説明しており、ティラーソン長官自身が解任について知っていたかどうかについて、国務省ホワイトハウスの説明が食い違っています。

トランプ政権では政権を支える高官の辞任や解任が後を絶ちません。


去年1月の政権発足後、1か月も経たないうちに安全保障担当のフリン大統領補佐官が辞任したのをはじめ、去年夏にはスパイサー報道官、プリーバス大統領首席補佐官、バノン首席戦略官が相次いで辞任もしくは解任されたほか、閣僚もプライス厚生長官が、チャーター機を多用して多額の税金を使ったと批判されて辞任に追い込まれました。


ことしに入ってからもこうした動きは続き、先月には離婚した2人の妻に対して暴力をふるっていたと報じられたホワイトハウスのポーター秘書官が辞任しました。


また、そのポーター氏と交際していたと報じられたヒックス広報部長はロシア疑惑をめぐって議会による調査を受けた翌日に辞任が発表されました。さらに今月6日にはトランプ政権で経済政策の司令塔だった、国家経済会議のトップ、コーン委員長が辞任することが明らかになりました。


また、今月はじめにはホワイトハウスで安全保障を担当するマクマスター大統領補佐官が近く交代する可能性があると一部のメディアが報じるなど、トランプ政権は政権を支える高官の去就をめぐって、日常的に臆測が飛び交う異例の状況が続いています。

これについて与党・共和党のライアン下院議長は13日、声明を出しティラーソン国務長官の労をねぎらうとともに、後任に指名されたCIAのポンペイオ長官について「カミソリのように鋭い献身的な愛国者で傑出した外交トップとなる経験を持っている」と評価しました。


また共和党の重鎮、マケイン上院議員も声明で「世界の秩序が急速に混乱に陥るなか、国際社会の舞台で強い立場からわが国を導くことがこれまでになく重要であり、ポンペイオ氏は国務長官として課題に対処できると確信する」として、トランプ大統領の判断を支持する姿勢を示しました。


一方、野党・民主党の下院トップ、ペロシ院内総務は解任されたティラーソン国務長官がロシアに対しトランプ大統領より厳しい姿勢を示していたことを踏まえ、「トランプ大統領の行動は政権のあらゆる職員がトランプ大統領の気まぐれとプーチン大統領への畏敬の念に翻弄されていることを表している」と非難しました。


また民主党上院トップのシューマー院内総務も「政権の不安定さがアメリカを弱体化させている」と批判したうえで、「ポンペイオ氏が心機一転してロシアとプーチン氏に対し厳しい政策をとることを望む」として、いわゆる「ロシア疑惑」の捜査が進む中、国務長官としてロシアに対し厳正な態度でのぞむよう求めました。

ティラーソン氏は、大手エネルギー企業、エクソンモービルのCEOを退任して、トランプ政権の国務長官に就任しました。


ティラーソン氏は、外交と行政の経験がありませんでしたが、それでも起用されたのは、過去の政権で要職を担った、共和党の外交安全保障政策の重鎮による推薦がありました。


ティラーソン氏が、世界的企業のトップとして培った国際感覚、さらには、ロシアのようなアメリカと対立する国で厳しい交渉をまとめた手腕が、国務長官としてふさわしいとの意見がありました。


しかし、就任以降、外交政策をめぐり、ティラーソン氏とトランプ大統領の間では、意見の違いが目立つようになりました。トランプ大統領は、パリ協定からの脱退やイランとの核合意の破棄、そして、エルサレムへのアメリカ大使館の移転などを選挙で訴えてきましたが、それらにティラーソン氏は反対し、トランプ大統領は、ティラーソン氏を既存の秩序を重んじる「エスタブリッシュメント」とみなし、いらだちを強めていったと伝えられています。


ティラーソン氏もトランプ大統領の言動に不満を募らせ、大統領のことを「ばかだ」と批判したとの報道も飛び出しました。


さらに、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応をめぐっても、トランプ大統領とティラーソン氏が一枚岩ではないことを象徴するような出来事がありました。


去年9月、ティラーソン氏は、北朝鮮の対話の意思を探るために接触していることを明らかにしましたが、直後に、トランプ大統領ツイッターで「時間のむだだ」と否定。去年12月には、ティラーソン氏が、講演で、突如、北朝鮮と前提条件なしに対話に入ることも可能だとの考えを示し、政策転換との受け止めが出て、ホワイトハウス北朝鮮政策は不変だと火消しに追われました。


歴代政権の中でも、大統領と国務長官の溝が何度もあらわになったのは異例です。


さらに、去年11月以降、ホワイトハウスがティラーソン氏の更迭を検討しているという報道が相次ぎ、政権を去るのは不可避との見方が広がっていました。


ただ、ティラーソン氏は、年明けも職にとどまり、みずからもメディアのインタビューに対して辞任の考えはないと強調し、その去就をめぐって臆測が飛び交う状態はいったん下火になりました。


ティラーソン氏は、先週、トランプ大統領米朝首脳会談の提案に応じる判断を下したときは、アフリカ歴訪に出かけていて不在でしたが、決断後、日程を一日短縮した上、会談に向けた調整を進める考えを示すなど、職務を続ける姿勢を見せていただけに、トランプ大統領の突然の発表に、衝撃が広がっています。


アメリカのティラーソン国務長官は13日午後、日本時間の14日未明、国務省で記者会見を開き、「正午すぎにアメリカ大統領から電話があった」と述べ、トランプ大統領が、ツイッターで解任を明らかにした数時間後に電話をしてきたと明かしました。


そのうえで「アメリカが重大な政策課題に直面する中、円滑な移行が最も重要だ」と述べ、13日いっぱいですべての権限をサリバン副長官に委譲し、今月31日で退任することを明らかにしました。


さらにティラーソン長官は、国務省などの政府職員に向けて「私たちは同じ誓いをたて、憲法を支え守るという共通の約束でしばられている」と語りかけるとともに、外交を重視すると繰り返し強調してきたマティス国防長官やアメリカ軍の存在をあげ感謝の気持ちをあらわしました。


また在任中の成果として北朝鮮への制裁の強化が予想以上の効果をもたらしたことをあげ、国務省として全力を注いだ結果だという認識を示しました。


一方で、シリア情勢や中国での対応で課題が残るとするとともに、ロシアの行動に懸念を示しました。


ティラーソン長官は、最後にアメリカ国民に向けて「自由で開かれた社会への献身、政府への支援をありがとう」と感謝の意を示しましたが、トランプ大統領へのことばは一切、ありませんでした。