「マネーの魔術史」が、新潮社『フォーサイト』に掲載されています。無料で閲覧できます。第4回は「ネイサン・ロスチャイルド 一世一代の大博打」です。https://t.co/SPTwY7GFvQ
— 野口悠紀雄 (@yukionoguchi10) 2017年6月23日
価格が二束三文まで落ちたのを見届けたネイサンは、大量の買い注文に転じた。ナポレオン敗北のニュースがもたらされたのは、その直後だ。
結局ネイサンは、その後暴騰した国債を、底値で買ったことになったのである。
この話自体はよく知られている。そして、「情報を持っているのなら、私だってそうするよ」という人がいるかもしれない。
しかし、よく考えていただきたいのだが、これは大博打である。ナポレオン敗北の公式ニュースは、いずれイギリスに伝わる。そうなれば、コンソルは暴騰してしまう。その前に買いに転じておかなければ、保有国債を安く売るだけのことに終わってしまう。絶妙のタイミングで買いに転じなければ、情報を活用したことにならないのだ。