https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com


「麗しき花園ともいえる私立大学は、東大勢がはびこると“不毛の砂漠”となり果てます。三流の私大では学科長クラスの待遇で迎えるわけですが、東大の人は“親方日の丸”のメンタリティですから、生徒集めの苦心などはまるで知りませんからね。それでも意見は言うし、周りも受け入れざるをえない。その結果、入試志願者が激減してしまうことになる」

「定員の5割減になっても、『今年は定員割れした』と他人事のように言うだけ。『定員割れとは96%で終わったときに言うセリフであって、5割減になってまで何を言うか』と、どやしつけた先生もいた。常識的判断しかできないし、過当競争でしのぎを削っている私大を経営的にサポートしようという気が全然ない。責任を取らないくせに、要職には就きたがる権力志向があさましいほど強い」


 運営費交付金で手厚く保護されている国立大学の中でも、東大は特に安泰。そんな環境の中で生きてきたため、私大にとって大切な学生集めに関心もなく、当然のように愛校心もない。結局のところ、何もしない人が多いのだという。


「有名予備校の経営者が建学した、埼玉県にある某法科大学院では、当初、司法試験合格者数で東大に比肩できるぐらいの人気校にしようと、本郷の法学部の権威ある教授を高給で多数採用しました。ところが全員やる気がなく、ご自分が司法試験の審査員のくせに生徒をよう育てもせん教授たちだった。初年度も次年度も合格者数は数名という空振り三振ばかり。これが何年も続いて大学院経営はガタガタになった。経営者は神様を雇ったつもりになっていたら、とんだビンボー神だった、というお粗末です」

 元東大教授よりも破壊力が強いのが官僚だ。官僚時代は数百億円の予算を動かしていただけに金銭感覚がズレすぎているという。私大には文科省経済産業省財務省など多くの官僚が天下りし、教授の座に収まっている。


「“渡り鳥稼業”の天下り役人は会議の欠席はザラなうえ、仕事の知識もない。仕事は部下に任せてゴロゴロしているだけ。それでも年俸は最低2500万円。さらに5年勤めて退職金が3000万円。これで3〜5つの大学を渡り歩いて計5億円は稼ぎます」


 もっとも何もしないのならマシな部類で、元官僚と悪徳教授が手を組み、大学を食い物にするケースも多々あるそうだ。濱野氏がいた都内の女子大では40億円が消えたこともあったという。


「彼らが株式や投資信託を駆使してマネーロンダリングをやったようですが、証拠が出なかった。また、翌年に取り壊しが決定していた校舎の大規模修繕に3億をつぎ込み、さらに塗装で1億2000万円と、計4億2000万円を無駄遣いしたことも。すぐに跡地に新しいビルを建てるところまで計画済みで、旧ビルでどんなインチキがあったのかはウヤムヤになってしまった。巧妙に証拠が残らない工作だけは一流のため、追跡調査もできなかった。もちろん大学の事務職などは真相を知っていましたが、黙殺したまま。ヘタに口にしようものなら簡単に左遷されてしまいますからね」


 別の学校ではこんなケースも。


「もっとひどいのは、研究業績が大学院生ほどもないクズ教授を学長に仕立て、自分は定年のない常務理事のポストに就いた天下り官僚がいました。さらに、部課長などの大学の要職を、仲間や部下で固め、付属の建物の増改築で稼ぐなど好き放題だった。さらに、法人側の私立学校法違反事項を目ざとく見つけると、理事長選で教授会をけしかけ、当主を追い出し自分が理事長の座に座り、そのまま学園を乗っ取ったヤツもいた。都内有数の伝統校でしたが、その後は、学問はそっちのけとなり、今では生徒の確保にも困るほど疲弊してしまいました」


 悪質な実例はまだまだあるという。


「今時、わざとド田舎にキャンパスを購入し、引っ越さなくてもいい学部の建物まで建てて都内一等地のキャンパスを売却し、その取り壊しとキャンパス移転で数十億を着服する天下りもいました。ゼネコンのリベートで稼いだんです。その大学は生徒集めに窮し、今は中国やベトナムからの留学生で細々と命脈を保っていますが、近々、倒産の噂も聞こえてきます。もちろん、天下り役人はその前にいなくなるでしょうね」


 悪徳教授や官僚を受け入れる私学の側にも落ち度があるとの指摘もあるが、濱野氏はそれは違うという。


「教授会が天下り官僚は採りたくないと考えていても、彼らは巧妙に法人側の上席ポストを占めてしまう。そうなれば、自動的にかつての役所の部下を雇いこむルートができてしまうんです。大学が悪いのではなく、行列を作って乗っ取りに来る方が悪いんです」