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9月に行われたドイツの連邦議会選挙で、メルケル首相が率いる中道右派キリスト教民主・社会同盟は、第1党の座を維持したものの過半数には届かなかったため、自由主義経済を掲げる自由民主党と、環境を重視する緑の党の2つの少数政党との間で4期目の政権発足に向けた連立協議を続けてきました。


しかし、交渉では難民の受け入れや、環境政策などをめぐって各党の意見の隔たりを埋めることができず、19日、自由民主党のリントナー党首が記者団に対し「間違った政策を行うぐらいなら、政権を担わないほうがよい」と述べて、交渉から離脱する考えを示し、交渉は決裂しました。


これについてメルケル首相は記者団に対し、「合意に達することができると思っていたので残念だ」としたうえで「国がこの難局を切り抜けられるよう首相として全力をつくす」と述べました。
ただ、ほかの党との連立の可能性は低いことから、メルケル首相は議会での過半数を断念して少数政権の樹立を目指すか、議会の解散による再選挙を迫られる可能性もあり、4期目を目指すメルケル首相は窮地に立たされています。


 これでは有権者が反乱を起こすのも無理はない。各種調査によると、ドイツ人は理屈の上では環境に優しいことを好むが、家計のエネルギー料金に関する世論調査は逆の結果を示している。右派政党「ドイツのための選択肢(Afd)」の得票率が驚異の13%に達した理由の1つは、エネルギー革命の即時中止を公約に掲げたことだ。独RWI経済研究所が発表した新たな調査によると、国民の61%は再生可能エネルギー普及の資金源として電力料金をこれ以上払いたくないと考えている。


 こうした状況を背景にメルケル氏の連立協議が混乱に陥っている。同氏が連立パートナーとして期待する緑の党は、汚染度が非常に高い20カ所の石炭火力発電所を皮切りに石炭火力を禁止することで、エネルギー革命のひずみを増幅したいと考えている。メルケル氏率いる中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由市場主義の自由民主党(FDP)は、せいぜい10カ所の発電所の閉鎖にとどめたいと望んでいる。22年以降に原発がなくなると、エネルギー面から経済が一段と圧迫されることを認識しているためだ。

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