https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

かつては名門校とされていた学校が凋落していたり、「聞いたこともない」学校が難関校として君臨していたりするように感じられるのではないか。

ここで、同じ東京・豊島区にある巣鴨と本郷という男子進学校を例に挙げてみよう。

教育方針の一つに「文武両道」を掲げる本郷。今年、花園進出(全国高等学校ラグビーフットボール大会)を見事に決めたラグビー部をはじめ、陸上競技部、科学部、社会部などは全国レベルの実力を誇る。

その本郷が進学校として頭角を現したのはいまから約20年前、入試回数をそれまでの2回から3回に変更したのがきっかけだ。そして、3回目入試を経て入学してきた生徒たちは当時の男子御三家(開成・麻布・武蔵)や早慶レベルの中学校に惜しくも手が届かなかった優秀層であった。

この層が中心となって、本郷の学力レベルをぐんと押し上げ、結果として難関大学の合格実績伸長につながった。そして、その結果が評判を呼び、次第に本郷を第1志望校とする高学力層が集まり始めたのだ。

興味深いのは、本郷の入試が狭き門になればなるほど、近隣にある男子進学校巣鴨がレベルを落としていくという「負の相関」が見られたことだ。

本郷は『四谷大塚主催「合不合判定テスト」偏差値一覧表(80%ライン)』の1995年度版によると、偏差値49、その23年後の2018年度版では偏差値62(両年度とも2月2日入試での比較)と劇的にレベルを伸ばしている。

一方、巣鴨は1995年度の2月2日入試の偏差値が64だったのに対して、2018年度は54と10ポイントも下げている。

巣鴨の人気が凋落したのは、徹底した管理教育が年々敬遠されるようになってしまったことが大きいといわれる。たとえば、正月早朝から道場でおこなう寒稽古、褌姿で実施される遠泳、そして校門での「一斉持ち込み検査」(携帯電話の持ち込みは禁止)など、ともすれば「時代錯誤」的なイメージを抱いた受験生や保護者が多かったのかもしれない。

反面、本郷の校風は自由でのびやかなものである。教員たちと生徒たちの距離は近い。そして、授業は生徒たちに勉学を楽しませることで「自学自習」の精神を養っていきたいという思いに貫かれている。

一方、存亡の危機に瀕していた私立中高のなかには、大きく様変わりした事例もある。例えば「渋谷女子」「順心女子学園」「東横学園」「戸板」「日本橋女学館」といった女子校は、今ではすべてが共学となり、それぞれ校名を変え、「渋谷教育学園渋谷(東京・渋谷区)」「広尾学園(東京・港区)」「東京都市大学等々力(東京・世田谷区)」「三田国際学園(東京・世田谷区)」「開智日本橋(東京・中央区)」となった。

5校は、校名を変える前の偏差値は30~40台だったが、いまは50~60台後半となっている。校名にあわせて教育内容を大胆に変えたことで、人気校へと変身を遂げたのだ。

なぜ、東京都市大学等々力は飛躍できたのか。

その原動力になったのは、「生徒たちの自学自習」を徹底させる教育方針にあるという。全学年の生徒に配布されるのは「TQ(Time Quest)ノート」。見開き2ページに1週間分の、部活や勉強時間などのタイムスケジュールを書き込んでいく。それを担任が随時チェックしていくという。これにより、生徒たちはタイムマネジメントの能力を育むことができる。

また、東京都市大学等々力が目指しているのは「学校完結型」の学習システムである。たとえば、月曜日から金曜日は毎朝15分のテストを実施。採点結果を分析・管理し、その採点結果はその日の放課後までに生徒たちに伝えられる。芳しくない得点結果だった生徒には補習や再テストを徹底的におこなっている。塾に通わずとも、学校内で大学受験対策が完結できるのだ。

こうした取り組みが評判を呼び、いまや押しも押されもせぬ人気校へとその姿を変えたのだ。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/20180606/1528281558広尾学園