なぜ日本最難関の東大医学部が、医師国家試験で合格率「55位」なのか 医学を学び続けるモチベーションを保てない高偏差値の人たち - 鳥集 徹 (文春オンライン) https://t.co/GyCCR3leqo
— BLOGOS編集部 (@ld_blogos) 2019年3月24日
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受験者10146人のうち合格者は9029人、合格率は89.0%と約9割です。この合格率は毎年発表されており、毎年あまり変わりありません。では、大学別の合格率はどうだったでしょうか。
医学部卒業生を送り出した80校のうち、1位は栃木県の「自治医科大学」でした。これで同大は7年連続1位となりました。合格率は99.2%。125人が受けて、不合格は1人だけ。新卒に限ると、合格率はなんと100%です。
自治医大は1972年に設立された比較的新しい大学ですが、私は隠れた「名門校」だと思っています。なぜなら、各都道府県が指定した医療機関に一定期間勤めれば、入学金や修学資金が実質的に不要となるため、全国から超優秀な学生が集まってくるからです。
私立といっても、同大は地域医療を担う人材を育成しようと各都道府県が共同で設立した公的な大学で、入学試験も都道府県別に2~3名しか選抜されません。そうしたこともあって、東大理Ⅲや慶應医学部に肉薄するほど偏差値が高いだけでなく、「地域に貢献する医師になる」というモチベーションの高い学生が集まってくるのです。
それが、医師国家試験の合格率の高さにも反映しているのだと思います。私は自治医大出身の医師を何人も取材していますが、頭がいいだけでなく臨床医としても優秀な人が多い印象です。これからも、国試合格率でトップクラスの成績を維持していくのではないかと思います。
合格率2位は「順天堂大学」(98.4%)、3位は「横浜市立大学」(97.7%)でした。順天大は前年4位、横浜市大は前年2位。この2校に限らず、ランキング上位にはだいたい毎年同じような顔ぶれの大学が並びます。
もちろん、そのような面もあると思いますが、国試合格率が高いのは、やはり学生がモチベーションを落とさず、まじめに勉強した結果だと言えるのではないでしょうか。それに合格率の高い大学出身の医師には、自治医大と同様に臨床医として優れた人が多い印象があります。ですから、その点は素直に評価していいのではないかと私は思っています。
では、受験偏差値でも、医学部ヒエラルキー(伝統的な序列)でもトップに君臨する「旧七帝大」はどうでしょう。合格率が一番よかったのが東北大の94.0%で15位、次が名古屋大の91.7%で30位、大阪大が90.6%で45位、京都大が89.8%で50位、東京大が89.0%で55位、北海道大と九州大が88.0%で59位でした。
実はこれも毎年のことです。受験が得意な東大医学部の人たちがまじめに取り組めば1位になっておかしくないと思うのですが、どうして国試ではふるわないのでしょうか。それにはいろいろな理由が考えられます。
まず、旧七帝大のような伝統ある大学では、国試対策の授業やテストをほとんど行いません。現役時代から国試予備校に通うような人も、プライドの高い旧七帝大の学生では少ないはずです。ほとんど自助努力で国試に挑むことになるわけですから、偏差値が高い人たちといえども対策が不十分で、落ちる人がいるということなのでしょう。
ただし、東大医学部OBから、こんな話を聞いたこともあります。こうした超難関校に入ってくる人たちの中には、受験界の頂点に入ることが目的になっていて、医学そのものにあまり興味が持てない人もいるというのです。
とくに医学は、臓器、器官、骨、神経、血管、組織等の名前を細かく記憶しなければならない解剖学が典型ですが、大量暗記を求められることの多い学問です。難しい問題を工夫して自力で解くことに快感を覚えるような高偏差値の人の中には、大量暗記をバカらしく思ってしまう学生もいると言うのです。
そのような学生にとって、臨床医になるための勉強を6年間も続けるモチベーションを保つのは大変なのかもしれません。
法学部に入って弁護士にならなかったとしても、誰も不思議には思いません。しかし、医学部に入ったのに医師になれなかったとしたら、医学部合格を祝ってくれた人たちには言いづらく、本人も家族もつらい思いをするのではないでしょうか。
東京都千代田区平河町に本部を置く日本の私立大学である。1972年に設置された。 大学キャンパスと付属病院は、栃木県下野市に所在する。
1972年(昭和47年)、僻地医療と地域医療の充実を目的に設立された。全寮制で密度の高い教育を行い、近年の医師国家試験の合格率は、全国公私立の医学部・医科大学において1位(2013年から2018年現在まで)を重ねている。
名目上は学校法人自治医科大学が設置する私立大学となっているが、実際には自治省(現・総務省)が設置した事実上の公設民営大学であり、総務省の自治系職員が大学に出向し事務局を統括し、元総務事務次官が理事長を務める。入試面では私立大学らしく大学入試センター試験には参加しない大学独自の方法で行うが、医学部ではその設置趣旨のためか各都道府県の定員枠(2名ないし3名)により選抜するという異色な方法をとる。
医学部は全寮制であり、地域医療に従事する総合医養成という観点から、臨床実習に重点を置いた教育が特徴であり、臨床実習のための共用試験(CBT・OSCE)を日本の医学部で唯一3年次に行い、4年次から病棟実習を行うというスタンスを取っている。
卒業後は採用枠都道府県の定めにより、公立病院を中心に9年間地域医療に従事することが求められている。9年間には、採用枠都道府県に所在する臨床研修病院・大学病院で行う2年間の臨床研修、2年間の後期研修、4年半の僻地診療所・病院での勤務を含む。6年間の学費は2,200万円程度だが在学中は貸与され、卒業後9年間指定公立病院等に勤務した場合その返還は免除される。
入学定員を各都道府県に振り分けて合格者を決定する。そのため、入試成績上位の者が必ずしも合格するとは限らない。特に、有名進学校が存在する都道府県は激戦で、その分合格が難しくなる。
かつて自治医科大学では、出生場所に関わらず、「受験者の出身高校の所在地」を本人の出身地と定義していた。従って、受験者本人の出身地(居住地)が出身高校と同一ならば問題がないが、寮生・下宿生・自宅が県境に近いなど出身地(居住地)とは異なる都道府県の高校に進学した場合、出身高校の所在地が「出身地」として登録されるため、卒業後9年間を生まれ故郷の僻地医療に貢献したとしても返済免除の要件を満たさないという問題が生じていた。
この問題を解決するため、2010年(平成22年)度入試より医学部ではこの条件が拡大され、「入学志願者の出身高校の所在地」に加え、「入学志願者の現住所の所在地」および「入学志望者の保護者の現住所の所在地」となった。
自治医大の卒業生が出身地にとどまる定着率は、都道府県によって最高90%から最低50%までと大きな格差がある(全国平均は70.9%)。