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――(大塚家具の)大塚久美子社長と経営方針で一番合わなかったのはどの辺なのですか。


大塚 合わなかったことはないと思うんですけれどね。ただ、私の退任後の新聞報道などを見ると、だいぶ変わってしまったようですね。接客に対する考え方もそうです。なぜ、今までのお客さまを大切にしない形にしてしまうのか。なぜああいう風にしてしまうんだろう。ちょっと私にはわからない。一人の商売人として考えても不思議ですね。


――退任以前にも同様の議論はあったのですか。


大塚 ありましたよ。ただ、それは「成功するために反対している」というか、私への諫言役として、あえて反対の態度をとっているのだと思っていました。ですが、(退任後を見ると)本当にやりたかったことだったのだなと分かりました。本当に、それがいいと思っていたのですね。

――久美子さんは久美子さんなりに「今の時代はこういう時代だ」という認識があるのではないですか。


大塚 時代や環境の変化に応じて事業を見直していくのは当然あるべきことです。ただ、「大塚家具モデル」とでも呼ぶべきビジネスモデルは、それほど脆弱ではありませんし、今の大塚家具がやっていることは、環境変化への対応というよりは自らの事業基盤ではないと感じるのです。


 どういうことかというと、大塚家具は競争を切り抜けて、他社が真似できないビジネスモデルを確立したのです。家具業界は、一部の高級ブランドとニトリさんやイケアさんの普及価格帯製品に二極化しているように言われていますが、中間価格帯で、品質の良い家具マーケットはきちんとあるのです。そこに盤石な基盤を築いていたのがかつての大塚家具です。


――つまりニトリやイケアとは違う方向を目指すべきだ、と。


大塚 そうです。ニトリさんやイケアさんの売り上げが伸びているのを見て「やはりあちらの方向に進まないとダメなのかな」と思い込んでしまっているように見えます。周りにそのように進言をする人もいるのでしょうし、私がいた頃にも盛んに「セカンドブランドの育成が必要だ」と訴えていました。


 でも、大塚家具はほとんど競争相手がいなかったのに、どうして競争の激しい方向に行ってしまったんだろう、と思います。


――残念ながら大塚家具の業績は思わしくありません。


大塚 つまり今の経営戦略がうまくいっていない。それをきちんと認識して、従業員の意見に耳を傾け、もう一度、大塚家具のビジネスモデルの原点に戻ればいいのに、と。社長として、まず自分から見直すことができるかどうかですね。


 また、お客様へ利益を還元する意味でもよいとは思えません。売り上げが増えなければ、利益が出ない。利益が出なければ、お客さまに還元するための値下げ幅を拡大することもできなくなりますから。

――競合に対してはどの程度意識しているのですか。


大塚 実は私は、よその家具屋さんって見たことないんですよ。昔、今から40年くらい前に大正堂さんに1回行ったきり。実は、ニトリさんにもイケアさんにも一度も行ったことないんです。人から、扱っている商品を聞けばだいたい分かりますしね。プライドも高かったんでしょうね、真似したって言われるのが嫌でしたから(笑)。それがいいことかは分かりませんが、自分はそうです。

――そもそもなぜ、家具は売れなくなったのでしょう。


大塚 大きな背景としてあるのが百貨店の影響ですね。昔は百貨店には電気製品と家具の大きな売り場があり、百貨店が市場をリードする力がありました。


 簡単に言えば、「こういうライフスタイルを実現したい」という夢を百貨店が世間に広め、それと連動する形で街の家具屋さんも商売をしていました。しかし今、百貨店の市場や需要そのものを掘り起こす力が弱くなっていると感じます。


 その結果、量販店型のニトリさんやイケアさんが成長し、街の家具屋さんが衰退していきました。すると家具屋さんは「ニトリと戦わなければ」と同じことをやって、さらに衰退が進みました。大塚家具では、海外の有名店を意識して店づくりを進め、海外・国内の商品を幅広い価格帯で揃えることに注力しました。

――今後はどのような店舗展開を考えているのですか。


大塚 実はもう一度、百貨店と組むのがいいと思っているんです。おそらく、百貨店のスペースがこれから空いてくるでしょう。そこで、家電とわれわれの家具でコラボレーションする。家電メーカーや家電販売店も品質の良いものを広めたい、と思っている会社は多いんですよ。これからは、百貨店も家電販売店もライバルではなくて、一緒に組む相手になってくると思います。単独ではなく、いろいろな人と一緒にやることが大事になってきていますね。

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