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トランプ大統領は2日、ツイッターで「FBIや司法省は神聖な捜査の過程を政治化している」などと批判するとともに、記者団に「私たちの国で起きていることは不名誉なことだ」と述べ、ロシア疑惑をめぐる捜査に偏りがあると指摘した議会下院の情報委員会の文書の公開を認めました。


これを受けて公開された4ページの文書は、共和党が作成したもので、FBIなどがおととしの大統領選挙でトランプ陣営の幹部の通信を傍受するにあたって、民主党とつながりがある調査会社がもたらした情報に基づいて裁判所の許可を取ったなどと指摘し、捜査の信ぴょう性に疑問を投げかけています。


ロシア疑惑をめぐる捜査では、モラー特別検察官が、トランプ大統領本人の事情聴取を近く行うと報じられていて、トランプ大統領としては、捜査をけん制するとともに、国民からの批判をかわす狙いもあると見られています。一方、FBIは、文書は正確さを欠くとの立場で、捜査が大詰めを迎えているとされる中、双方の攻防が激しくなっています。


アメリカのトランプ政権は、中長期の新たな核戦略を示した「核態勢の見直し」を策定し、2日午後、日本時間の3日朝早く、発表しました。核戦略の見直しは前のオバマ政権以来、8年ぶりです。


新戦略ではまず、ロシア、中国の核戦力の増強や北朝鮮による核開発などで、世界的な脅威が急激に増しているとし、特にロシアについて、限定的な核攻撃も辞さない構えを見せていると指摘しています。


そのうえで、こうした脅威に対抗し、攻撃を未然に防ぐには、核による抑止力を強める必要があるとして、核戦力全体の近代化を進めるとともに、「低出力核」と呼ばれる威力を抑えた核弾頭を搭載した、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルを導入するとしています。


また、オバマ前政権が退役させた潜水艦や艦艇から発射可能な核巡航ミサイルの再開発にも着手するとしていて、核戦力を強化する方針を打ち出しています。


さらに、アメリカによる核兵器使用の可能性については、オバマ前政権が示した「極限の状況下でのみ検討する」とする原則を引き継ぐ一方、通常兵器による攻撃であっても核兵器で報復する余地を残し、核兵器を先に使用しない「先制不使用」は妥当ではないとしています。


新戦略について、国防総省のスーファー次官補は「今、重要性を増しているのは抑止力と同盟国に対する保障だ」と述べて、抑止力の強化の必要性を強調し、核兵器なき世界を目指すとしたオバマ前政権からの方針転換を鮮明にしました。これに対して核軍縮の専門家からは、「低出力核」は核の使用のハードルを下げる危険があり、核軍縮の流れを逆行させるなどと強い懸念の声もあがっています。

「低出力核」は、核の威力を抑えた核弾頭で、アメリカ軍では戦域に近い距離から局地的な攻撃に使用する、いわゆる「戦術核」とも呼ばれる核兵器に搭載してきました。


壊滅的な破壊力を持つ、いわゆる「戦略核」が、TNT火薬に換算しておよそ15キロトンだった広島の原爆の数十倍の威力があるとされているのに対し、国防総省では「低出力弾頭」の威力は、おおむね広島の原爆より低く抑えられているとしています。


冷戦後の核軍縮の流れの中、「戦術核」の削減を進めたアメリカは現在、「低出力核」については、ヨーロッパの同盟国に配備されている戦闘機に搭載する核爆弾など、一部の保有にとどめています。


「低出力核」について国防総省は、あくまで抑止力の強化と反撃が目的で、より使いやすい核戦力を持つことが狙いではないと主張しているのに対し、核軍縮を訴える専門家らは、核の使用のハードルを下げ、拡散も助長するなどとしてその危険性を指摘しています。

トランプ政権が発表した新たな核戦略は、多様で柔軟な抑止力を構築する必要性を強調していて、その理由にロシアや中国、北朝鮮などの存在をあげています。


このうちロシアについては、「核兵器の先制使用、もしくは脅しによりロシアに有利な形で紛争をおさめられると誤解している」として、紛争時に限定的な核攻撃に踏み切るおそれがあると分析しています。


そのうえで限定的な攻撃に使用するいわゆる「戦術核」と核兵器の生産能力でアメリカを大きくしのいでいると強い警戒感を示しています。また核軍縮をめぐるアメリカとの条約に違反し、さらなる核軍縮を目指す努力を拒絶していると非難しています。


中国については、新型の移動式ICBMやSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの導入に加え新たに戦略爆撃機の開発を公表するなど、能力、保有数、防衛力のあらゆる面で核戦力の増強を進めているとしています。一方で、これらの核戦力の建設計画は透明性を欠いており、その意図に疑問があるとして懸念を示しています。


さらに北朝鮮については、「数か月のうちにアメリカ本土を核弾道ミサイルで攻撃できる能力を獲得するかもしれない」として核ミサイル開発の急速な進展に危機感を示しています。そのうえで「われわれは北朝鮮によるアメリカとその同盟国、友好国に対するいかなる核攻撃も許さない。それが体制の終えんとなることはわれわれの抑止戦略からも明白だ」として強い警告を発しています。

アメリカやヨーロッパの主要国が加盟するNATO北大西洋条約機構が、東ヨーロッパの国々を取り込みながら拡大していることに、ロシアは警戒を強めてきました。


さらに4年前、ロシアがクリミアを併合したあと、NATOが東ヨーロッパのルーマニアポーランドで迎撃ミサイルの運用や配備を進め、バルト3国では部隊を増強したことにロシアが強く反発し、NATOとの間で緊張が高まっています。


こうした中、ロシアが重視しているのが核戦力です。ロシアにとって核戦力は、戦闘機や戦車といった通常戦力の劣勢を補う手段とされ、仮に、通常戦力による侵略で国が存亡の危機に立たされた場合、「対抗手段として核兵器を使用する権利を持つ」と軍事ドクトリンで規定されています。


実際、プーチン大統領は、クリミアを併合する際、情勢が不利になった場合に備えて、核兵器の使用に向けた準備を進めるよう指示していたことを、3年前明らかにしました。


ロシアは現在、ヨーロッパに照準をあわせた核戦力の増強を図り、NATO加盟国のポーランドリトアニアと国境を接する飛び地、カリーニングラードでは、核弾頭を搭載できる短距離弾道ミサイル「イスカンデルM」を配備する計画を進めています。


1月下旬には配備に向けた準備が整ったとするなど、今後も、核戦力を使ってNATOに対抗していく姿勢を鮮明にしています。

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