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国連は、第2次世界大戦の後、世界の平和と安全を維持し、人々の暮らしの向上を支援するためにできた国際機関で現在、193か国が加盟しています。

国連創設から24日で75年になるのにあわせ、ホスチャイルド事務次長NHKのインタビューに応じました。

ホスチャイルド氏は「冷戦当時、米ソのイデオロギーの違いは存在したが、いまほど大きな違いではなかったかもしれない。かつては大義のために協力する義務感があったが、いま、それが弱まっている」と述べ、米ロに加えて米中の対立が先鋭化する中、感染症や気候変動など地球規模の課題に、加盟各国が協調して取り組めるかが課題だという認識を示しました。

そして、大国間の対立を乗り越えるには他の国が結束することが必要だとしたうえで、「日本は、分裂の時代に、互いの共通認識を見いだすための建設的な役割を果たせる」と述べて、日本の役割に期待を表しました。

国連の将来像についてホスチャイルド氏は、「今の世界は以前とは違い、市民社会から大きな影響を受けている。『#MeToo運動』や温暖化防止活動はよい例だ。市民社会や若者の声を取り入れなければ、国連の重要性は低下していく」と述べて、企業や若者などとの連携を強めていく方針を示しました。

核兵器禁止条約は核兵器の使用は武力紛争の際に適用される国際法などに反するとして、その開発、保有、使用などを禁じる条約で、3年前の2017年に国連で採択されました。

条約の発効には50の国や地域の批准が要件となっていますが、23日、条約の推進国などが開いた会合で新たにジャマイカナウルが批准したと明らかにしました。

これにより批准した国と地域はそれまでの47から2か国増えて49となり、50まで残り1つとなりました。

条約は批准が50に達してから90日後に発効することになっていて、会合に参加した国際NGOICAN核兵器廃絶国際キャンペーンは50番目の批准は近いとして強い期待を示しました。

条約が発効すれば核兵器を違法とする初めての条約となりますが、アメリカとロシア、中国などの核保有国やアメリカの核抑止力に依存する日本などの同盟国は参加していません。

一方、条約を推進する各国とICANは発効により核兵器廃絶に向けた国際的な世論を高め圧力の強化につなげたい考えで、批准に取り組む国々の動向を注視しています。

オンラインでの会合には、長年、世界各国で自身の被爆体験を語り、核兵器廃絶を訴え続けてきたカナダ在住の広島の被爆者、サーロー節子さんも登場し、自宅からスピーチを行いました。

この中でサーローさんは、核兵器禁止条約が発効する条件を満たすのが近づいていることについて、「核兵器の終わりが本当に始まろうとしている。立ち上がれなくなるほどうれしく、涙があふれてきた。ついにここまできて、世界のとても多くの人たちが連帯した力を感じている」と述べました。

そのうえで「広島で亡くなったおばや当時4歳のおいの英治、親戚や、学校の同窓生など、広島や長崎で亡くなった罪のない人たちに思いをはせている。私は、他の被爆者と同じように、亡くなった人たちのことをむだにせず、同じような苦しみを味わう人が二度と出ないようにするという誓いを立て、長年訴えてきた。核兵器を禁止する条約が近く国際法となることに達成感や満足感、それに感謝の思いでいっぱいだ」と感じている思いを表現しました。

そして、「条約の前文には被爆者の文字が刻まれている。完全に核兵器がなくなるまで、世界は危険にさらされていて安心できない。
私たち被爆者は核兵器が廃絶される日を迎えることはできないだろう。しかし、条約があることでいつか核兵器が廃絶される美しい日を迎える。廃絶を目指す新たな取り組みが始まる」と述べ、条約の意義を強調しました。

日本は2016年に核兵器禁止条約の交渉の開始を求める決議案の採決で反対に回り、2017年の条約交渉、そして条約自体にも参加していません。

核兵器禁止条約について日本政府は「唯一の戦争被爆国として、条約が目指す核兵器廃絶という目標を共有している」としています。

一方で「北朝鮮のように核兵器の使用をほのめかす相手には通常兵器だけでは抑止を効かせることは難しい」として、日米同盟のもとでのアメリカの核抑止力の重要性を強調しています。

そのうえで核兵器禁止条約はこうした安全保障上の観点が考慮されていないと指摘するとともに「核兵器を直ちに違法化する条約に参加すればアメリカによる核抑止力の正当性を損ない、国民の生命と財産を危険にさらすことを容認しかねない」という立場を示しています。

さらに条約は日本と同様に核兵器の脅威にさらされている国からも支持を得られておらず、核軍縮に取り組む国際社会に分断をもたらしていると懸念を示しています。

このため日本としては核保有国と非保有国の橋渡し役として現実的で実践的な活動を粘り強く進めるとして、地域横断的な非核保有国のグループを形成して核保有国と非保有国の間の意思疎通に取り組んでいるとしています。

これに対して国連は条約に署名していない国にもオブザーバーとして締約国の会議への参加を呼びかけていて、日本の参加に期待を寄せています。

核兵器禁止条約が効力を持つことについて、条約を推進してきた国際NGOICAN核兵器廃絶国際キャンペーンの川崎哲 国際運営委員は「核兵器禁止条約は、核兵器は世界の平和と安定をもたらすという考え方に立っていたものを、国際法で違法とするものだ。核兵器の終わりの始まりになる条約で、人類の平和と安全を脅かす大変危険な非人道的なものなんだという考え方に変えていきましょうというものだ」と述べ、意義を強調しました。

保有国が参加しておらず、実効性が疑問視されていることについては、対人地雷禁止条約やクラスター爆弾禁止条約でも当初は反対する国があったのが、国際的な規範となり、これらの条約に加盟していない国も、こうした兵器を使用しなくなっていることを例に挙げ「核兵器禁止条約ができたからといって、一瞬にして核兵器がゼロになるわけではないが、『核兵器は悪いものだ』という規範が国際法で作られることによって核保有国も勝手な行動ができなくなる」と指摘しました。

そして「人類はこれまでも差別や人権問題などを長い時間をかけて変えてきた歴史がある。本当に核兵器の時代を終わらせて、新たな時代を作り出すという、きっかけにしたい」と期待を示しました。

核兵器禁止条約は、国内の手続きを終える「批准」を行った国が発効に必要な50に達するのが間近に迫っていますが、日本政府は核軍縮につながらないとして条約に参加しない姿勢を示しています。

23日、学生やNGOなどでつくる、条約を推進する有志のグループがオンラインでイベントを開き、日本政府に条約への参加を働きかけるための新たなプロジェクトを始めることを発表しました。

プロジェクトは、「GoToヒジュン!キャンペーン」と題され、国会議員や知事などに問い合わせて条約への賛否などをウェブサイトで公開し、SNSなどで発信するということです。

グループの調査ではこれまでに条約に賛同する意思を示している国会議員は全体の17%で、年末までに30%から賛同を得られるよう全国でメンバーを募って活動を強化したいとしています。

グループの代表を務めるICAN核兵器廃絶国際キャンペーンの川崎哲国際運営委員は「条約に対する意識は、賛成が多い世論と、国民の代表である国会議員の間で大きな開きがある。地域の代表の議員の考え方に関心を持ってもらうことで、日本の批准を実現させたい」と話していました。

加藤官房長官は、23日午後の記者会見で、「『核兵器禁止条約』が目指す、核廃絶というゴールそのものはわが国も共有しているが、条約の現状は、核兵器保有国のみならず、非核兵器保有国からも必ずしも支持を受けている状況ではない」と指摘しました。

そのうえで、「抑止力の維持・強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切だ。条約は、そうしたアプローチとは異なるため、署名は行わないという考えだ」と述べました。

そして、「核・ミサイル開発を進めている北朝鮮をはじめ、わが国を取り巻く安全保障環境は大変厳しさを増している。わが国自身の防衛力を強化しながら、日米安保体制のもとで、核抑止力を含めた米国の抑止力を維持・強化させていくことは、わが国の防衛にとって、現実的であり、適切な考え方だ」と述べました。

軍縮の取り組みはこれまでNPT=核拡散防止条約を基盤に進められてきました。

50年前の1970年に発効したNPTはアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国を核保有国と認め、核軍縮の交渉を義務づける一方、その他の国々の核兵器保有や拡散を禁じてきました。

しかし世界の核兵器の9割を保有する米ロの核軍縮は進まない上、NPTに参加していないインドとパキスタンが相次いで核実験に踏み切り、北朝鮮も条約から脱退を宣言して核兵器開発を加速させています。

さらにあらゆる核実験を禁じる「CTBT=包括的核実験禁止条約」もアメリカやインド、パキスタンなどで批准の見通しが立たず、1996年の採択から20年以上たった今も発効していません。

このため7年前の2013年以降、核兵器を持たないノルウェー、メキシコ、オーストリアはNPTや国連とは別の国際会議を相次いで開き、核兵器を法的に禁止すべきだという議論を活発化させてきました。

こうした中、核保有国と非核保有国の対立は激しくなり、2015年春のNPT再検討会議では核兵器の法的な禁止を求める国々に対し、核保有国は段階的な核軍縮を主張して、世界の核軍縮の方向性を決める合意文書を採択できない事態となりました。

そして2016年、オーストリアやメキシコなど50以上の国が共同で核兵器禁止条約の交渉の開始を求める決議案を国連総会に提出し、113の国の賛成多数で採択されました。

この時、日本は唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶を訴える一方、「核軍縮は核保有国とともに段階的に進めるべきだ」として、アメリカなどの核保有国とともに反対に回り、国内外で驚きをもって受け止められました。

その後、核兵器禁止条約の制定に向けた交渉会議は2017年3月に始まり、7月に122の国と地域の賛成で採択されましたが、核保有国に加え、アメリカの核抑止力に依存する日本やNATO北大西洋条約機構の大半の加盟国は交渉に参加しませんでした。

一方、当初から条約の制定を推進してきた国際NGOICAN核兵器廃絶国際キャンペーンは各国に直接働きかけるなど条約の実現に貢献したとしてこの年のノーベル平和賞を受賞しました。

世界の軍事情勢を分析しているスウェーデンの研究機関、ストックホルム国際平和研究所がことし6月に発表した最新の報告書によりますと、各国が保有している世界の核弾頭の総数はことし1月時点で1万3400発と推計されています。

前の年の調査の推計1万3865発から465発減少していて、報告書ではアメリカとロシアが核弾頭の解体を進めたことを理由に挙げています。

国別ではロシアが6375発と前年の6500発から125発減り、アメリカが5800発と前年の6185発から385発減っていますが、2か国の合計は1万2175発と全体の9割以上を占めています。

2か国に次ぐ3番目の保有国は中国で320発と前年の290発から30発増えたと推計され、報告書は「核兵器の近代化の真っただ中だ」と指摘しています。

4番目のフランスは290発で前年より10発減った結果、中国がフランスを抜いたとみられています。

5番目はイギリスの215発、6番目はパキスタンの160発、7番目はインドの150発、8番目はイスラエルの90発となっています。

また北朝鮮は前年から10発程度増えて30発から40発を保有しているのではないかと分析しています。

一方、報告書では米ロ両国が核弾頭やミサイル、施設などの近代化を進めている上、核兵器の役割を拡大させ、冷戦後の核軍縮の流れに逆行していると指摘しています。

さらに去年は米ロの核軍縮条約の1つが失効するなど核兵器の軍備管理が危機的な状況に陥り、地政学的な緊張も高まっているとして、警戒感をにじませています。

アメリカのオバマ前大統領が「核兵器のない世界」を目指すと演説してから11年。

世界には今も1万3000発余りの核弾頭が存在し、その90%以上をアメリカとロシアという2つの核大国が保有していると推計されています。

両国は、
▽INF=中距離核ミサイルの全廃条約と
▽START=戦略兵器削減条約という2つの条約をもとに核軍縮を進めてきましたが、この枠組みが今、崩壊の危機にひんしています。

INF=中距離核ミサイルの全廃条約はトランプ政権がロシアの核ミサイル開発を理由に破棄を通告し、去年8月、失効しました。

またICBMなどの戦略核兵器を制限してきたSTARTは10年前の2010年に引き継がれた後継条約の新STARTが来年(2021)2月に失効の期限を迎えますが、米ロ両国は新型の核兵器などを巡って対立し、協議は予断を許さない状況が続いています。

軍縮をめぐる米ロの協議の一方で、核戦力を急速に発展させたのが中国です。

中国政府は核兵器保有数を公表していませんが、世界の軍事情勢を分析しているスウェーデンストックホルム国際平和研究所によりますと、核弾頭の数はことし去年の290発から320発に増え、ロシアやアメリカに次いで世界で3番目に多くなったと分析されています。

米ロの核軍縮条約に縛られない中国はアメリカ大陸に届くICBM大陸間弾道ミサイルや日本や台湾を射程におさめる中距離ミサイルの開発など核戦力の増強を推進し、アメリカは強く懸念しています。

また核兵器の拡散も深刻でNPT=核拡散防止条約保有を認められているアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国以外にもインド、パキスタンイスラエルの3か国がすでに核兵器保有していると見られるほか、北朝鮮も開発を加速させています。

このため核兵器を持たない非核保有国などの間では米ロを基軸とした核軍縮条約だけでは不十分だという声が根強く、核廃絶の実現に向けてはほかの核保有国も巻き込んだ新たな核軍縮の枠組みの必要性も指摘されています。