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裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面

 裁判官山口厚の補足意見は,次のとおりである。
 私は,法廷意見に賛同するものであるが,本件において詐欺未遂罪が成立することについて,理論的観点から意見を補足しておきたい。
 詐欺の実行行為である「人を欺く行為」が認められるためには,財物等を交付させる目的で,交付の判断の基礎となる重要な事項について欺くことが必要である。詐欺未遂罪はこのような「人を欺く行為」に着手すれば成立し得るが,そうでなければ成立し得ないわけではない。従来の当審判例によれば,犯罪の実行行為自体ではなくとも,実行行為に密接であって,被害を生じさせる客観的な危険性が認められる行為に着手することによっても未遂罪は成立し得るのである(最高裁平成15年(あ)第1625号同16年3月22日第一小法廷決定刑集58巻3号187頁参照)。したがって,財物の交付を求める行為が行われていないということは,詐欺の実行行為である「人を欺く行為」自体への着手がいまだ認められないとはいえても,詐欺未遂罪が成立しないということを必ずしも意味するものではない。

刑法第2版 | 有斐閣

P33

P140

演習刑法 第2版 - 東京大学出版会

P29

実務刑事判例評釈(168)被害者に自動車を衝突させ,転倒させてその動きを止めた上,被害者を刃物で刺し殺すという計画を立てていた場合において,被害者に自動車を衝突させた時点で殺人罪の実行の着手があるとされ,殺人未遂罪の成立を認めた事例(名古屋高判平成19.2.16) : 2009-01|書誌詳細|国立国会図書館サーチ