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アメリカのトランプ政権は14日、イスラエルの建国70年にあわせてイスラエルの首都と認定したエルサレムに大使館を移転し、トランプ大統領の娘のイバンカ氏らが出席して式典が行われました。


トランプ大統領は式典にビデオメッセージを寄せ「建国以来、イスラエルエルサレムを首都としてきた」と述べ、国際社会の反対を押し切って強行した大使館の移転はあくまで正しい判断だったと主張しました。


これに対してエルサレムを将来、樹立する国家の首都と位置づけるパレスチナ側は、各地で大規模な抗議デモを行いました。


とくにガザ地区ではイスラエルとの境界付近で数万人規模のデモとなり、イスラエル軍が実弾を使って鎮圧にあたった結果子ども6人を含む55人が死亡し、1359人がけがをしたということです。


こうした事態に国連のゼイド・フセイン人権高等弁務官が「イスラエルは直ちに発砲をやめるべきだ」とツイッターに投稿するなど国際社会からは批判の声があがっていますが、アメリカのクシュナー上級顧問は、エルサレムでの式典でパレスチナ側の抗議行動が暴力を招いているとしてイスラエルを擁護しました。


15日は、パレスチナ難民がイスラエルの建国に伴って故郷を追われてから70年という節目にあたり、抗議デモが拡大し、さらに衝突が激しくなることも予想されます。

アメリカがイスラエルの大使館をエルサレムに移転したことについて、欧州各国からは非難する声が上がる一方、中東諸国の反応からはアメリカとの距離感の違いなどから足並みの乱れがかいま見えます。


アメリカ大使館のエルサレムへの移転を受けてフランスのルドリアン外相は「アメリカの決定は、国際法や国連安保理決議に違反し、容認できない」とする声明を発表したほか、ロシアのラブロフ外相代行も「国際社会の合意をこのような一方的なやり方でひっくり返してはならない」と述べるなど、ヨーロッパ諸国からはアメリカを非難する声が相次ぎました。


一方、トルコの最大都市イスタンブールでは14日、中心部の大通りに数千人の市民が集まり、トルコとパレスチナの旗を掲げてパレスチナの人たちとの連帯を呼びかけるとともに、「アメリカとイスラエルを絶対に許さない」と、激しい口調で非難しました。


ただ中東諸国の反応からはアメリカとの距離感の違いから足並みの乱れがかいま見えます。アラブ諸国パレスチナが加盟する「アラブ連盟」は、アメリカを非難する声明を出し、16日にエジプトの首都カイロで緊急会合を開き、対応を協議すると明らかにしました。


しかし多くの政権は、財政的、軍事的に依存するアメリカとの関係の悪化を避けたいのが実情で、このうちサウジアラビアバーレーンは、イスラエル軍が実弾を発砲して多数の死傷者が出ていることについては強く非難したものの、アメリカが大使館を移転したことについては言及を避けました。


これに対してイランのザリーフ外相は「イスラエルが多くのパレスチナ人を無慈悲に虐殺しているにもかかわらず、トランプは法に反するアメリカ大使館の移転を祝い、アラブの親米の協力者たちは、そこから注意をそらそうとしている。まさに恥ずべき日だ」とツイッターに投稿し、アラブ諸国の煮えきらない対応を痛烈に批判しました。


エルサレムの帰属をめぐる問題はイスラム教徒が多い中東各国にとって本来、譲れない問題ですが、アメリカとの関係や中東のパワーバランスが変化するなか、足並みの乱れが顕著になっています。

パレスチナ側の抗議デモにイスラエル軍が実弾を発砲し多数の死傷者が出ていることについて、アメリカのホワイトハウスは「責任はパレスチナ側にある」と主張してイスラエルを繰り返し擁護しました。


ホワイトハウスのシャー副報道官は14日の記者会見で、「イスラエルはこれまで暴力を使わない形での事態の鎮静化を目指してきた」と主張し、ガザ地区でのデモを事実上主導するイスラム原理主義組織ハマスに責任があるとしてイスラエルを繰り返し擁護しました。


また、大使館の移転が中東和平に及ぼす影響については、「エルサレムイスラエルの首都と認定したことは、現実をありのままに認めたにすぎない。しかるべき時がくればわれわれの和平案を提示する」と述べて、中東和平の実現に向けて仲介に取り組む姿勢を改めて強調しました。


ただ、パレスチナ側はアメリカが仲介者としての役割を放棄したと批判を強めており、トランプ政権のもとで中東和平は交渉の糸口すら見えなくなっているのが現状です。

EU=ヨーロッパ連合のモゲリーニ上級代表は14日、声明を出し、イスラエルに対して平和的なデモを行う権利を認めるよう求めるとともに、イスラエルに対抗するイスラム原理主義組織ハマスなどに対してもデモの参加者に非暴力を呼びかけるよう求めました。


また、アメリカのトランプ政権がエルサレムイスラエルの首都と認めて大使館を移転したことについて「イスラエルの人たちとエルサレムの結びつきは否定されるべきでないが、パレスチナの人たちにとっても同じことが言える」としてエルサレムの帰属の問題はイスラエルと将来のパレスチナ国家の2国家共存の原則に基づく解決を図るべきだとの考えを改めて強調しました。


レバノンシーア派組織、ヒズボラの最高指導者ナスララ師は14日、アメリカ大使館のエルサレムへの移転を受けてテレビ演説を行い「アメリカにとって大事なのはモラルではなく、イスラエルの利益だ」と非難しました。


そのうえでイスラエルが今月10日、シリア側からロケット弾攻撃を受けた報復だとしてシリアに越境して空爆を行ったことに触れ「イスラエルとの戦いは新たな段階に入った」と宣言しました。


さらにナスララ師は「イスラエルヒズボラやイランなどへの敵対的な姿勢を続けるなら、ふさわしい方法で報復する」として、イスラエルとの対決姿勢を鮮明にしました。


イランの支援を受けるヒズボラは今月6日にレバノンで行われた総選挙で躍進するなど国内で影響力が増しているうえ、シリアも含めたイスラエルとの国境地帯で軍事的な存在感を高めています。

このためイスラエルは関係施設への攻撃を繰り返すなどイランやヒズボラの動向に神経をとがらせており、中東地域の緊張が一層高まることが懸念されます。


アメリカのトランプ政権が14日、エルサレムに大使館を移転したのに対し、波紋が広がる中、ワシントンにあるトルコ大使館によりますとトルコ政府は駐米大使を召還する方針を決めたということです。また、イスラエルに駐在する大使も召還する方針だということです。


トルコは、イスラム教の国と地域で作るイスラム協力機構の議長国となっていて、アメリカやイスラエルに対してとりわけ強い姿勢を内外に示していることから、大使館の移転への対抗措置とみられています。


アメリカがイラン核合意から離脱したことを受け、イランのザリーフ外相は、中国に続いて14日、ロシアを訪問し、ラブロフ外相代行と会談しました。


ザリーフ外相は「各国の義務の上に成り立っていた合意が、アメリカの離脱によってバランスを失った。イランの目的は国民の利益をいかに守っていくかだ」と述べ、アメリカ抜きで合意を維持することに協力を求めました。


これに対しラブロフ外相代行は「国際的に重要な合意をひっくりかえそうとしている」と述べ、アメリカを非難しました。


そして、イランだけでなく合意に加わっているロシアや中国、それにヨーロッパの各国は核合意で利益を得ることができるとして「この利益をともに守らなければならない」と述べ、アメリカ抜きで核合意の維持に努めていくことで一致しました。


またロシアのプーチン大統領も、IAEA国際原子力機関の天野事務局長と会談し、ロシアはイラン核合意を維持していくと強調しました。