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「設置場所にも工夫をしています。そこに必ずまた戻ってくるような人が多い場所、ですね。たとえばオフィスビルの中にある自販機ですとか、住宅街の駅前ですとか。帰宅途中に最寄り駅で降りたら雨が降っていた、なんてときにレンタルアンブレラを利用して、次の日の出勤途中に返す、みたいな使い方を想定しているわけです。また、最近ではコインパーキングに設置するケースも増えています。クルマから降りて用事を済ませたらまた駐車場に戻ってくるので」


なるほど、設置場所の工夫ひとつで返却率をある程度高めることができるというわけだ。ちなみに、たとえば新宿歌舞伎町や大阪・ミナミの繁華街のような場所には設置していないとか。当初ミナミに設置していたところ、「返却率がかなり低かった」そうだ。

そして、このレンタルアンブレラにはもうひとつの特徴がある。それは「電車の忘れ物傘」を再利用しているという点だ。現在、忘れ物傘を提供しているのはJR東日本・西日本、近鉄名鉄、西武、東急、東武の7社。この各社で発生した忘れ物の傘を、レンタルアンブレラBOXに格納する貸出用傘として活用しているのだ。


「こちらから積極的に傘の提供をお願いしたわけではなく、構内に自販機を置かせていただいたり、飲料を提供したりしている関係でつながりがあることから、それを通じてお話しさせていただいている程度です。でも、どの事業者さんも忘れ物の傘の扱いには苦慮されているようで、快くご協力いただいています」

では、困ったときのために設置場所を教えてもらいましょう……。


「あ、残念ですが、それはお話できません」


やっぱり盗られるから?


「いえ、約500台という設置数はなんとなく決まっているのですが、設置場所は固定ではないんです。ご利用の状況などを鑑みて、営業スタッフの判断で場所を変更することもありまして」

これこそが、ダイドーの誇るキメの細かさ。全国の営業所のスタッフは、それぞれの担当エリアをくまなく周り、自販機ごとの特徴を誰よりも理解している。そのスタッフたちがレンタルアンブレラの管理も行っているのだが、利用状況や返却率などを踏まえて随時“より便利な場所に”とサービスの向上を目指して模索を続けているのだとか。


「営業車には補充用のドリンクや自販機の掃除用具はもちろんですが、レンタルアンブレラの予備もちゃんと積んでいて、様子をみて補充したり壊れている傘があればピックアップしたりしています」


実はダイドー、その売上の大半を自販機が占めているのだという。新入社員はみな“自動販売機はショーケース”と教育され、そのケアの大切さを叩き込まれる。そんなスタッフたちが、レンタルアンブレラも丁寧にケアをしているのだから、そのサービスの充実ぶりたるや、推して知るべしである。