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月例経済報告は政府の公式な景気認識を示すもので、20日に開かれた関係閣僚会議で今月の内容が取りまとめられました。

それによりますと、中国経済の減速を背景に「輸出」の伸びが鈍り、その影響が波及する形で「企業の生産」も電子部品など一部で弱さがみられるとしています。このため、景気判断について「輸出や生産の一部に弱さもみられる」という表現を新たに追加し、3年ぶりに下向きに修正しました。

ただ、全体としては「緩やかに回復している」とし、景気は回復局面にあるというこれまでの見方を維持しました。一方、景気の状況を示すことし1月の「景気動向指数」では、景気がすでに後退局面に入った可能性を示す結果が出ています。

これについて内閣府では、GDP=国内総生産の7割を占める個人消費と設備投資の増加が続いていることや、雇用や所得環境の改善、それに企業の収益が高い水準にあることなどを挙げたうえで、「現時点では、戦後最長の景気回復が途切れたとは考えていない」と説明しています。

景気動向指数」は、生産や雇用などさまざまな経済指標を組み合わせて、国内の景気が上向いているか、それとも下向きになのか、景気の方向や転換点をつかむための統計です。内閣府が毎月、発表していて、指数の動きから景気の「基調判断」も併せて公表しています。この基調判断は、指数の動きから機械的に導き出され、「改善」、「足踏み」、上方、あるいは下方への「局面変化」、「悪化」、「下げ止まり」の5段階に分かれます。

今月7日に公表されたことし1月の景気動向指数は、基調判断が「足踏みを示している」から「下方への局面変化」に下向きに修正されました。内閣府によりますと、この表現は「景気のピークが数か月前にあった可能性が高いことを示す」と定義されています。景気動向指数は、暫定的ながらもことし1月の時点で、景気がすでに後退局面に入っていた可能性があることを示す結果となったのです。ただ、景気の回復や後退の時期は、正式には内閣府有識者による研究会が十分な統計データがそろった段階で1年から1年半後に判定します。仮に、ことし1月以前に国内の景気が後退局面に入っていたと判定されれば、政府が「可能性が高まった」としている戦後最長の景気回復は“幻”となる可能性もあります。

一方、政府の公式な景気判断となるのが「月例経済報告」です。「月例経済報告」は、安倍総理大臣や菅官房長官、それに経済関係の閣僚や日銀の黒田総裁らが出席する「関係閣僚会議」で取りまとめられます。会議には、消費や雇用、それに企業の生産といった国内の経済指標だけでなく、海外経済のデータなども盛り込んだ資料が内閣府から提出されます。

会議では、さまざまなデータを基に経済を取り巻く国内外の状況を踏まえた総合的な判断として、政府の公式な景気認識が取りまとめられます。このため、機械的に基調判断が導き出される「景気動向指数」と、総合的に判断される「月例経済報告」で、景気判断が食い違うケースが出てくるのです。

国内の景気をめぐっては、中国経済の減速などを背景にことしに入ってよい経済指標と悪い指標が入り交じるようになっています。

政府は、今月の月例経済報告で景気に弱めの動きが出ていることを認めつつも、景気回復が続いているという見解は維持しました。国内の消費や雇用の改善が続くなどしているため、「戦後最長の景気回復が途切れたとは考えていない」というのが政府の立場です。

今月の月例経済報告で景気判断を下向きに修正したことについて茂木経済再生担当大臣は、記者会見で「慎重な表現を付け加えた理由は、アジア向けを中心に輸出が弱含んでおり、企業の生産も一部の業種で弱さが見られるためだ」と説明しました。

その一方で、「個人消費と設備投資という内需の柱は増加基調が続いている。現時点で景気回復が途切れたとは考えておらず、戦後最長を更新した可能性があるということに変わりはない」と述べ、景気回復が続いているという考えを強調しました。

また、ことし10月の消費税率の引き上げに関連して茂木大臣は「世界経済全体がリスクに直面し増税を延期した2016年とは状況が異なっている。10%への引き上げは、財政健全化だけでなく、社会保障の充実や安定などに不可欠で、ことしの10月に引き上げる予定だ」と述べ、予定通り引き上げる考えを示しました。