【速報 JUST IN 】英 メイ首相 EU離脱後に辞任する意向 複数メディア伝える #nhk_news https://t.co/wTVnUJ3GTS
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年3月27日
イギリスのメイ首相は、EUからの離脱の条件を定めた「協定案」をめぐり議会がこう着状態に陥る中、27日、与党・保守党の議員の集会に出席しました。
この中でメイ首相は、「国も政党も試練にたたされているが、あと少しで、新しい1章が開けるのだ」と述べEUからの離脱を成し遂げる決意を改めて示しました。
そのうえで「いま党内で新しい指導者が必要だという声が出ていることは理解している」と辞任を求める声が広がっていることを認め、「望んでいたよりも早く職を去る用意があるが、その前に離脱協定案を支持し、歴史的な責務が実現できるよう力を貸してほしい」と述べ、協定案が承認され、離脱を成し遂げることができれば辞任する意向を示しました。
EUは「協定案」がイギリス議会で承認されなければ当面、来月12日までしか離脱の延期は認めないという考えを示しています。
メイ首相は、これまで2回にわたって大差で否決されている「協定案」の3回目の採決に向けて、みずからの辞任と引き換えに支持を呼びかけた形です。
英議会 EU離脱の”代替案” いずれも賛成多数得られず #nhk_news https://t.co/0JvwdxPDmn
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年3月27日
イギリスのEUからの離脱については、メイ首相がEUと合意した「離脱協定案」が、これまで2回議会で否決され、政府は29日に予定していた離脱を延期することを余儀なくされました。
メイ首相がみずからの協定案の議会での承認をあきらめない姿勢を示す中、議会は、こう着状態の打開を目指して、首相の案以外で賛成多数を得られる選択肢があるかどうか審議しました。
議会では、合意なき離脱に進む、2度目の国民投票を実施する、EUの関税同盟にとどまるなど、8つの選択肢について、それぞれ投票が行われました。
その結果、2度目の国民投票の実施と関税同盟にとどまるという選択肢が最も支持されましたが、いずれも賛成多数は得られず、議員からは、選択肢を絞って来週、再び投票するべきだとの提案が出ています。
今回の投票結果に法的拘束力はなく、メイ首相も「建設的な姿勢で審議に応じるが、政府は結果に縛られない」と述べています。投票に先立ってメイ首相は、辞任と引き換えにみずからの協定案への支持を与党・保守党の議員に呼びかけたことから、協定案の3度目の採決を急ごうとしているという見方も出ていて、議会と政府の主導権争いが激しさを増しています。
イギリス議会での投票を前に、EUのトゥスク大統領は27日、ヨーロッパ議会で演説し、離脱の撤回を求めるイギリスのウェブサイト上におよそ580万人分の署名が集まったことに触れ、「署名した600万もの人たちを裏切ることはできない。EUに残りたいという人たちは増え続けている」と指摘しました。
そのうえで、EU内部に「長期にわたる離脱の延期は認めるべきではない」との意見があることを念頭に、「もしイギリスが戦略を見直すなら、長期の延期を受け入れなければならない」と述べ、離脱の撤回や2度目の国民投票を実施する可能性もあるとして、イギリスの今後の方針いかんでは長期にわたる離脱の延期を認めるべきだとの考えを示しました。
「示唆的投票」は、メイ首相がEUと合意した離脱協定案をめぐる議会のこう着状態を打破しようと、超党派の議員が提案して行われることになりました。
EUからの離脱方針について、議会で過半数を得られる案があるかどうかを調べるため、いわば政策の「人気投票」を行うもので、選択肢には、メイ首相が否定してきた「2度目の国民投票の実施」などが含まれています。
投票の結果に法的な拘束力はありませんが、もし議会で圧倒的な支持を集める案があれば、メイ首相に対し、政策の転換を求める圧力になるとみられます。
一方で、過半数を得る案が出ない可能性もあり、その場合には、上位の案に絞って再び、投票を行うことも検討されています。イギリスでは2003年に上院の改革をめぐって「示唆的投票」が行われましたが、示された7つの選択肢のうち過半数を得る案はなかったということです。
メイ首相は、イギリスがこれまでEUの一員として参加してきたモノや人の移動が自由な「単一市場」と、域内では関税なしで貿易し域外に対しては関税を共通化する「関税同盟」から撤退することを前提に、EUとの間で離脱協定案をまとめました。
今回、「示唆的投票」が行われる8つの選択肢には、離脱後のEUとの関係について、メイ首相の方針とは異なるものや、離脱を抜本的に見直すものも含まれています。
1「単一市場に残留」。北欧の国ノルウェーをモデルにEUの単一市場にとどまるものです。
2「単一市場に残り、新しい貿易ルールを交渉」。こちらもノルウェーをモデルに離脱後もEUの「単一市場」にとどまるもので、「関税同盟」の代わりとなる取り決めについて、EUと交渉します。
3「関税同盟に参加」。EUの「関税同盟」に参加します。イギリスは各国と独自に自由貿易協定を結ぶことを目指していますが、これは難しくなります。
4「関税同盟に残り、EUと密接な関係を維持」。EUの「関税同盟」に参加するとともに、ルールなどをEUに合わせることでEUとの密接な関係を続けます。
5「分担金払い移行期間へ」。イギリスが離脱したあともEUに分担金を支払い続けることで、最大2年間はモノの行き来が自由な状態を維持し、その間に将来の関係について協議します。本来、離脱協定が発効しなければ得られない移行期間を、お金を払うことで得る形となります。
6「合意なき離脱」。EUとの間で何の取り決めも結ばない状態で来月12日に離脱します。EUとの貿易で関税や通関手続きが復活するなど暮らしや経済活動に大きな影響があるとされています。
7「2回目の国民投票実施」。イギリスが進むべき道を国民投票によって改めて国民に問います。離脱の撤回も含めて国民が意思を表示することになるとみられます。
8「離脱の撤回」。EUからの離脱そのものを条件付きで撤回します。離脱の期限の2日前になっても協定案が承認されず、議会が合意なき離脱を否決した場合、離脱を取りやめます。