https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

一方、社内では、ゴーン元会長の右腕とも言われた西川氏に対して、不正を見逃していた経営陣の一員としての責任を問う声があがっていた。連合を組むルノーとの間で経営の主導権をめぐって対立が続き、関係は悪化。追い打ちをかけるように、主力市場のアメリカでの販売不振などで業績が低迷し、幹部の間からは、西川氏が一部の限られた人間だけで物事を決めていく姿勢に不満の声も聞こえて来るようになる。経営トップとしての手腕を疑問視する声もくすぶり始めていた。

一方、社内では、ゴーン元会長の右腕とも言われた西川氏に対して、不正を見逃していた経営陣の一員としての責任を問う声があがっていた。連合を組むルノーとの間で経営の主導権をめぐって対立が続き、関係は悪化。追い打ちをかけるように、主力市場のアメリカでの販売不振などで業績が低迷し、幹部の間からは、西川氏が一部の限られた人間だけで物事を決めていく姿勢に不満の声も聞こえて来るようになる。経営トップとしての手腕を疑問視する声もくすぶり始めていた。

6月24日、株主総会の前日になって取締役の1人が動く。西川氏に辞任を迫るため、臨時取締役会を開くよう求めたのだ。関係者によると、西川氏とこの取締役は、開催の是非や進退をめぐってかなり緊迫した議論を交わしたという。しかし、総会前日ということもあって他の取締役の間に支持は広がらず、結局、臨時取締役会は実現しなかった。

翌日の株主総会では、「指名委員会等設置会社」への移行が決議される。ゴーン元会長らに権限が集中していた体制を一新するため、取締役の過半数社外取締役となり、人事や報酬を社外取締役が中心となって決める体制になった。西川氏の社長続投も正式に決まったが、経営の透明性を高めるためのこのガバナンス改革こそが、今回の西川社長辞任につながることになる。

9月。西川氏の報酬をめぐる疑惑で、社内調査の結果がまとまった。法令違反ではないとされる一方、社内ルールに反する形で多くの報酬を受け取っていた事実が認定された。

調査結果が正式に報告される取締役会は、9月9日。開催を間近に控え、西川氏とともに長年、仕事をしてきた経営幹部が直言する。「このままでは持たない。すぐに辞任すべきだ」。辞任に向けた圧力は確実に高まっていた。

迎えた取締役会当日。関係者によると、「直ちに辞任」というシナリオが整っていたわけではなかった。取締役の中には、次の体制に移る時期を「年内」や「年度内」とする腹案を持った人もいたという。

午後3時からの取締役会では、まずゴーン元会長の不正に関する社内調査の最終報告が行われた。その後、西川氏の報酬をめぐる調査結果が報告される。

「不正を許したままでは、日産は変わらない」「報酬問題によって西川氏の求心力の低下が避けられない」「ここでけじめをつけなければ、日産の改革は進まない」。取締役の間で、危機感が広がっていく。

一部の取締役からは、後継選びに時間がかかることを理由に、即座の辞任に慎重な意見も出たという。しかし、5時間に及ぶ議論の末、最終的には取締役会として一致して即座に辞任するよう、西川氏に求めることが決まった。

「事実上の解任」ともいえる要請を、西川氏は、静かに受け入れたという。ある日産幹部は、「傷ついたブランドを立て直したい、ガバナンスを確かなものにしたいという思いが形になった」と話した。

9日夜の記者会見で、取締役会の議長を務める木村康社外取締役は、不正に関する内部調査が終わったことが1つの区切りだったとしたうえで、「西川氏の求心力という意味からすると、このタイミングでトップが変わることが新しいリーダーのために適切だと判断した」と述べた。社外取締役を中心にした経営体制に移ったことによる、「ガバナンスの発揮」だ。

その後、西川氏は1人で臨んだ記者会見で、「ゴーン事件や業績不振など、残念ながら過去のうみが吹き出した時期だった。すべてを整理して次の世代にお渡ししたかったがやりきれなかった部分は大変申し訳ない。道半ばでバトンタッチすることをお許しいただきたい」と述べた。淡々とことばをつなぎながらも、改革の途上で経営トップから外れることに未練を感じさせる発言もあった。

焦点となる後任選びでは、候補が社内外からおよそ10人に絞られている。低迷が続く業績の回復と、連合を組むルノーとの悪化した信頼関係の構築、そして透明性を高める経営改革と、次のトップは、なお残る大きな“宿題”に向き合うことになる。

100年に1度とも言われる自動車業界の激変期にあって、日産自動車が、ゴーン元会長の事件のあと1年近くにわたって経営の混乱を収めることに時間を費やさざるを得なかった事実は、重い。日産が本当の意味で生まれ変わるために、残された時間はそう長くない。

d1021.hatenadiary.jp